アンドレイが住むアパートは、モンマルトルの丘一角にあった。
歴史的建造部が多く残る中にあって、彼のアパートも築100年、あるいはそれ以上の建造物と思われた。
彼の3階の窓からはキャバレー「ムーラン・ルージュ」のネオンが見えていた。
哲人は、パリにまで自分を招いたアンドレイの意図を図り兼ねていたのだが、意外な展開となる。
「哲人を愛していると」とアンドレイがドイツ語で訴えるのである。
そして、寝ていた哲人の陰部にアンドレの手が伸びる。
実に巧妙な手の動きに、男の性であり哲人の陰部は図らずも反応してしまうのである。
そして、アンドレイは、肛門への性交を求めるのだ。
彼はホモでも女性の立場での性を嗜好していたのだったろうか。
「女に生まれたかった」とアンドレイは、興奮が高まるなかで喘ぎ声をあげるのだ。
フランスの映画女優を彷彿させた美貌のアンドレイの求めに、哲人は意に反してまで抗し切れずに性交に応じてしまうのだ。
だが、アンドレイは哲人のために即日の朝に買い物に向かい交通事故に遭遇する。
大きな哲人の選択の前に、人生のドラマは思わぬ展開となったのだ。
アンドレイは、悲劇的にも暴走してきた自動車ルノーに跳ねれたのである。
哲人は深い悲しみよりも、「これで日本へ帰る」とむしろ理不尽にも心で安堵するのだ。
モンマルトル (Montmartre) は、フランスの首都パリで一番高い丘(標高130メートル)。
元々はこの丘を含む一帯のコミューン名(旧セーヌ県に属していた。)でもあったが、1860年にその一部がパリに併合されてセーヌ川右岸のパリ18区を構成するようになった。
残部はサン・トゥアンに併合された。現在は、専らパリ側の地域を指し、パリ有数の観光名所となっている。サクレ・クール寺院、テルトル広場、、モンマルトル墓地などがある。