利根輪太郎の競輪人間学 300円の指定席へ逃れる

2025年01月04日 13時30分20秒 | 未来予測研究会の掲示板

相手は、利根輪太郎の競輪人生で初めて出会った最悪な男であった。

以前も記したが、男の最初の出会いは取手駅西口駅ビルの入口であった。

相手は、利根輪太郎を見て「あんたとは、相性が合いそうだな。酒でも飲むか」不敵な笑いである。

むき出しの口元の前歯が数本欠損していた。

角刈りであり、もろヤクザな男の風貌である。

輪太郎は、「この男は危ない」と直観してから黙してすれ違う。

だが、次にその男は取手競輪場で出会うと付きまとうのだ。

驚くことに、松戸競輪場でも男は輪太郎を探し回っていた。

刑務所帰りで、現在は保護観察の身であることを男は明かすのだ。

「刑務所に2度入ったけど、3度目は御免だ。団体生活は嫌だな、刑務所には戻りたくない」男は顔をしかめて気持ちを打ち明ける。

だが、輪太郎はそんな男に酒をご馳走する。

「酒が飲めないのが、一番辛いな。あんたなら分かるだろう」男は酒を目当てに、輪太郎にまとわりつくのだ。

全部で、5度も輪太郎は酒を男に提供する。

愚かにも、1000円が入金されたスイカカードを2度も男に渡すのだ。

輪太郎は、結局、300円の指定席逃れた。

その回数30回、つまり9000円も浪費する。

また、食堂の「さかえや」へ逃れるのだ。

 

 


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