キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

映画「ベルサイユのばら」LadyOscar(1979)その1

2015年12月24日 | ☆エンタメ-映画
ついに最後まで見てしまいました。実写版のベルサイユのばらです。
いや~すごい作品。はっきりいうと、ものすごく残念な作品でした。
この映画についてはこれまでもその残念ぶりを多少は小耳に挟んでいたので、なんの期待もなく見たんですけど、ラストにちかづくにつれてどんどんめちゃくちゃに…あ~あ。

言いたいことがあふれてきてるので、思いつくまま、感想(やツッコミ)を書き散らします。1979年の映画だから、今更ネタバレとかいう話でもないと思うので、気にせずガンガン行きますよ。(あ、ちなみに私が見たのはネット上にある英語音声フランス語字幕のものだったので、細かな部分は話が見えてないです・・)




★本物のベルサイユ宮殿でロケしてるらしい。
ベルサイユだよ~と言われても、行ったこともないし「はぁそうですか~」って感じですが、有名な「鏡の間」はわかりました!スタッフフランス人も多いだろうし、衣装とか小道具とか考証はそれなりにしっかりしてるのではないだろうかと思ってます。それにしても男も女もカツラなので髪の色が銀色の人ばかり。見分けがつきません!!!ジャンヌも初めこそ、黒っぽい髪の毛ですが、途中から銀色になるので、同じ人間だと分かりにくい・・・・。

ドレスもいいし、楽器なんかも素敵。馬車とか輿とかいいですね~。オスカルの着てる軍服もよかった。時代劇っていいなあ。

 
★セリフはすべて英語でした。英国英語ですね。
舞台劇みたいに、すごくはきはき聞き取りやすい音声。なぜかな?この時代の映画はそうなの?アフレコなのかも??
オスカル&アンドレは英国人俳優さんだったらしいですが、アントワネットはオーストリア人、フェルゼンはスウェーデン人だったそうです。へ~。結構こだわったキャスティングですね。

★音楽はミッシェル・ルグラン
なかなかいいです。
壮大でドラマチックなテーマ曲もいいし、それを現代風にしてヴォーカルのついた「I'm a lady」っていう主題歌も軽快ですてき。

映画は見に行けずじまいでしたが、サントラは持ってました。サントラには、映画のシーンの音声がいろいろはさんであって、今回映画を見たら結構名場面集だったんだなと気がつきました。当時は英語のセリフは100回繰り返そうともほとんど聞き取れてませんでしたが、今なら少しはわかります。自分の成長を感じています・・・・じーん


★ジャルジェ家は大貴族にしては小ぢんまりとした建物です。
趣味は悪くないけど・・・。
使用人もばあやしかいないのかっていうくらい少ない。もう少しいいおうちを用意してほしかったなぁ。ジェローデルの屋敷のほうが豪華でしたね。
 

★オスカル誕生シーン、お母様は産褥で亡くなってしまいました。これで男として育てるというのに説得力はつきますね。


★アンドレの初登場シーンはありません。オスカル誕生シーンで、ジャルジェ将軍がばあやに孫を引き取れ、オスカルの友達(コンパニオン)にするって命令してます。
子ども時代は可愛いですね。子供時代のオスカルもコロコロした感じです。


★オスカルはアントワネットの個人ボディーガードで、宮廷のサロンに一人で控えています。アンドレは オスカルが宮殿に伺候すると同時に 王宮の厩番に就職で、オスカルの従僕ではありません。でも通勤時は一緒ですね。アンドレの希望ではなく旦那様の命令で嫌々厩舎に行ってるようです。

★フェルゼンは・・・その他大勢に埋もれてしまって、目立たない。いい男はいい男ですが。アントワネットや取り巻きが騒ぐので、特別感はあります。ルイ16世からは建築に興味のある青年として認識されてますね(笑)。オスカルがフェルゼンに魅かれる根拠がほとんど描かれてない・・セリフで説明があったかもしれないけど、聞き取れず。
 
★ジャンヌは出てくる、原作と同じ感じ。首飾り事件も描かれます。
でもロザリーは原作とは大きく異なり、可愛くない。
母親をポリニャック伯夫人に轢き殺されるのは同じだけど、実はその娘という設定はなく、したがってジャルジェ家に引き取られる話もなし。


★ロザリーとオスカルの最初の出会いこそ、原作通り「一晩私を買ってください!」って馬車に駆け寄るんだけど、アンドレが買いそうになるっていうのも面白い展開です(そしてその後の再会シーンではアンドレもロザリーもお互い誰なのか覚えてない・・・)。オスカルとは単に顔見知りって程度の仲ですね。当然ロザリーが「オスカルさま・・・」となることもありません。

★ロザリーはローズベルタンの工房で働いていて、ジャルジェ家に注文のドレスを届けます。アンドレに「うちにはドレスを着るような人はいないけどな~」みたいなことを言われますが。そしてベルサイユいってみた~い!とか言って、こっそり馬車のトランクに隠れて連れて行ってもらうことに。なんじゃそれ?そして王后陛下まで臨席される舞踏会に簡単に潜り込み、ポリニャック伯夫人の首を絞める・・・・警備薄すぎですね。(っていうかこの一連のシーン全く不要だと思いますけど)

★その舞踏会でオスカルはドレスを着てフェルゼンと踊る事になりますが、オスカルが全然目立ってない。よく見ればもちろんきれいだけど、その他のご婦人も皆きれいなので、全然目立たない。背も低いし。周りの反応も原作では「おお~~美しいひと!」ざわざわ!って感じだったのに、誰もオスカルに注目しない・・・。その辺演出でなんとでもなったと思うけどなぁ。あ、一人いた、しつこくオスカルに話しかける男が。たぶんあとで求婚に来るジェローデルでしょうかね。

★フェルゼンは王妃様と踊ってます。
それをオスカルはその他大勢と一緒にガン見してます。
で、王妃様と踊り終えたフェルゼンがなぜか目立たないオスカルに声をかけにきます。まるでクラスでも目立たない地味な子がめいっぱいおしゃれして来たところを、憧れの学級委員長から声かけてもらったみたいな展開です・・・。
う。

★原作では一言もしゃべらないオスカルですが、映画では普通に自己紹介してます。しかもジャルジェと名乗ってます。フェルゼンが勝手に(?)勘違いして「オスカルのイトコですか?よく似てますね」なんていうものだから、「そうですいとこです」なんて話を合わせましたけど、多分名乗る気満々だったのではないかと思われます。


★フェルゼンと踊りながら、饒舌に喋り捲るオスカル。オスカルの話題をだしてますね。オスカルについていっぱい話させたかったんでしょうね。フェルゼンもオスカルの美しさは自分だけが知ってるだの、オスカルを好きになってたかもしれないだの勝手なことを言ってます。喋りすぎたと反省するフェルゼンに、「オスカルとはあまり親しくないから、何を言っても漏らしませんわ」みたいなことを言ってるような気もするんですが、このシーンのセリフは音楽もうるさいしあまり聞き取れませんでした。



★舞踏会のあと噴水のそばで一息つくオスカルの背後から伸びる男の手・・・・
ぎゃ!でも黒い騎士ということはなく、アンドレでした。
で、唐突に愛の告白。
あ?このタイミングなんだ?
アンドレはロザリーをほったらかしてしまってますね。

★ここの告白シーン、乱暴に腕をつかまれたりして、ドレスが若干ビリッてなってるので「青いレモン」の再現ですね。変なとこ、原作のテイスト挿んでくるなぁ…
告白されたオスカルが「お前にはそんな権利はない」っていうのですね。で、アンドレが「権利ならある!」と啓蒙がすすんでいるのはアンドレっていうところは、まぁなかなか良い設定で、このあとも新しい時代の考え方を身につけてるアンドレと、旧体制の思考から離れられない支配者側のオスカルという対立は描かれていて、好感もてます。原作とは違うし、これじゃオスカルじゃないだろと思いますが、まぁ、これはこれでリアリティあるのでは?


★忘れるところでした。
映画には決闘シーンがあります。(原作にはない、アニメにはあります)得物はピストル。オスカルが勝ちます。アニメと違って、相手は死にます。
決闘の理由は些細なことです。パリの路地で道を譲る譲らないとかそんな話。道をふさいでいるのには理由があって、(ロザリーの母親が馬車の事故で死にかけてる非常事態)でもそんなの聞く耳なしの相手に掴みかかっていくオスカル…ドゲメネ公爵(かどうかわからないけど)が子供を背後から撃ったとかいう話もないし、あれじゃ、オスカルただの短気なバカに見える・・・。


★決闘はピストル持って背中合わせに立ち、何步か歩いて振り返って撃つというもの。
でもお互いの立ってる延長線上に、乗ってきた馬だの馬車だのがあって、流れ弾に当たりそうですね。もっと違う場所で待機すればいいのに・・。危ないな。でもほんとはそういうものなのか?


★決闘するというオスカルに父親はとっておきのピストルを用意します。娘の勝利を信じて疑ってません。ジャルジェ父はわからずやなおやじという描かれ方。最後までそうだったのかな?肝心のセリフがよくわからず、この点保留。


★それに対してアンドレは決闘に絶対反対の立場です。くだらない事に命をかけると非難ごうごう。ですが、父親が認めたのでもうどうしようもありません。
不安のためか一人にしないで一緒にいてくれとアンドレにせがむオスカル。もう子供じゃないんだからとはいうものの、結局はオスカルの望みを聞き入れるアンドレ。長椅子で昼間の服のまま寝てます。それはいいのですが、オスカルも着替えもせず、ブーツも履いたままで寝てますよ。決闘前の緊張感かな?


★酒場での大乱闘シーンもあります。
決闘のあとやりきれなくなった様です。アンドレを相手に飲んだくれてます。アンドレは完全に保護者ですね。
ロベスピエールも登場して一応原作と同じ「戴冠式のスピーチを後悔・・・」みたいなことを言います。乱闘シーンはジャッキーチェンのアクション映画みたいだった。かんたんに壊れる椅子、机^^

★酒場の外の馬をつないだあたりに倒れている二人を、なぜかフェルゼンが見つけて、助けて家までついていきます。そこで、フェルゼンはオスカルが女だと知るという展開。女と知ったきっかけは、ばあやが「she・・」って言ったからですね。


★そのあとオスカルが上半身裸になってその姿を鏡に映すっていうシーンあるけど、あれはいらないなぁ…脱がせなくても女にしか見えないものね…アンドレも覗き見る必然性なし。ところで、日本の時代物とかでも時々あるけど、男装してる女の人は胸にさらし巻いたりしてるでしょ?オスカルはそんなことしてないのかな?ブラウスの下は何もつけてなかった・・・もともとブラウスとかは下着の役目と聞いたことあるけど、胸がいろいろ邪魔だと思うのですよね…。これって現代日本人の感覚なんだろうか??



★びっくりしたのは、ロザリーがドレスを届けにジャルジェ家に来た際に「ドレスのお届けが遅れたのは、王妃様の恋人が(アメリカからフランスに)戻られたせいなんです」とベルタン譲からの言伝てを伝えたこと。えええ?勿論噂ではみんな知ってるんでしょうけど、こんな風に知らない人にまでいうのかしら?王妃様お気に入りのデザイナーが?それと、なんでそれでドレスが遅れるんだろうか?
と思って、見返してみたらベルタン嬢はそんな言い方してませんでした。ロザリーが礼儀を知らないためにそんなあけすけな言い方したということなんですね。あーびっくりした。

さて話はここからクライマックスへ。

★なんとか原作通りに近衛をやめて衛兵隊への転属を願い出るオスカル。やめる理由はよくわからなかった。なぜかそのシーンでルイジョゼフを肩車してます。肩車…映画オリジナルです。フランスではよくやるのかな?なかなか可愛いシーンでした。

★衛兵隊ではあからさまに反抗されてます。反抗というかやる気がない感じか?ここは面白かった。で、ちょっと落ちこんだオスカルが、厩舎にいるアンドレに「お前が遠くなったみたいで寂しいよ。もっと話したいのに」みたいなことを言うって、ちょっとなんっていうか、オスカルじゃないよ、ただのかまってちゃんじゃんか・・・映画のオスカルは、別人オスカルと思っておかないとここから先は冷静でいられなくなります。

 オスカルの泣き言にアンドレは結構突き放したような態度です。「お前なしで私はどうやっていけば…」とさらに弱気なオスカルに「おまえもいつか自分の夢が見つかるさ」って。つれないなー。


★三部会が開かれて、議場から議員を締め出すとかもろもろの話があり、ついにオスカルが民衆に発砲しろという上官の命令に背き、営倉みたいなところにほおり込まれます。ここでオスカルが、人は平等に選択の権利があると気がついた。みたいなことを話します。でも衛兵隊士と信頼を築いたようには見えてなかった。いつの間に?さらになぜかアンドレたち群衆も同じところにぶち込まれ…あれ?営倉じゃないのか?一般の留置場だったか。あ、アンドレたちが助けに来たってことなんですね。オスカルの顔を見つけて二人ハグ。ついにオスカルが自分の側に来たってことで嬉しかったんでしょうねえ。

★帰宅したオスカルですが、待っていたのは父からの往復ビンタです。
徹底的に口答えを始めるオスカルに父は剣をとって成敗モード(?)オスカル危うし、手を怪我します。そこへアンドレが割って入り、結局将軍はアンドレに負かされる・・・ここの将軍とアンドレのセリフがよく聞き取れないのが残念。
なんて言ってるのかな??

★10回くらい繰り返して聞いてみたけど、やっぱりわからない。結局字幕のフランス語を翻訳機にかけましたよ。
オスカルの父を剣で追い詰めたアンドレが「命は助けてやる。そのかわり俺たちをほっておいてくれ」といいます。この映画のアンドレは不遜です。主に対しての忠義心など全くない感じで全編描かれてる。アンドレも身分の差で悩んでいないと盛り上がりに欠けるじゃないですか。アンドレも原作とは別人です。


★ばあやのいるキッチンへ入るアンドレとオスカル。ばあやが手の傷の手当てをしてくれますが、オスカルが「もうこの家にはもどれない」とさめざめと泣きます。
そこでばあやの謎の行動「何を言ってるんですか?あなたはもう自由なんですよ!ついに自由になったんですよ!」とアンドレに祝福をして、二人を駆け落ちさせようとするような勢いです。

ばあやにびっくりした。
このばあやも原作とは全くの別人です。


★それから納屋のシーン。
この納屋はオスカルとアンドレが子どもの頃によく遊んでいた思い出の場所です。明日は民衆が蜂起するから自分も行かなくては。お前を置いていきたくないけど、自由のためには行かなきゃいけないんだ。というアンドレ。もう完全に原作と立場逆転してます。
私も行くというオスカルにダメだと言ってますよ。で、オスカルからの愛の告白があって・・・地味なラブシーンへ。

地味だ‥‥

で明けて7月14日。丸腰でバスティーユへ向かう二人。なんだかデートっぽくてオスカルの笑顔が可愛いです。ホントに近所の縁日とかお祭りかなんかに行くような感じですよ。


★烏合の衆なのでしょうがないんですが、群衆(のつもり。ほんとはそんなにヒトがいない。エキストラ集められなかったですね・・・しょぼーん)にもまれて二人ははぐれてしまいます。

    そして・・・ああ、もうここから書きたくない。

アンドレが逃げてる途中に背中に銃弾を浴びて道ばたに倒れます。
オスカルは最後までアンドレを見つけられません。

民衆はただ逃げてるだけにしか見えなかったのに、バスティーユに白旗が・・・
えええ~~ほんとに?!いつの間に??

結局オスカルは見物人だったような感じで(アンドレもだけど)あっけなくfinってそりゃないよ~。
こんだけ改変するなら、アンドレ殺さないでよ~。
もののあわれを教えてくれる映画でした。マル。






こんだけ語れるっていうのも、すごいことですね。
突っ込みたくなるところだらけで、それが魅力になっていますね。
長くなりついでに、もう少し書いておこう。
でも続きは稿を改めます。



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