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「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2005・05・19

2005-05-19 06:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

 「本は古本にかぎると私が言ったのは、昔は文字で志を述べたからである。古人は世論に異存がなければ黙っていた。どう考えても、異議があるときだけ発言した
 だから、言論は売買の対象にならなかった。百部二百部ひそかに印刷して、友人知己に献じた。今は売買が目的である。売買が目的の言論なら、迎合を事とするにきまっている。毎日新刊がなん十冊出ても、迎合すること同じなら、本は少ないほうが文化国家だ。
 明治大正のころまでは、初版は五百、七百、せいぜい千冊どまりだったから、売買を考えない言論もたまにはあった。だから、本は古本にかぎると戯れに私は言ったのである。」

   (山本夏彦著「茶の間の正義」所収)
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