
★ 西尾正道医師の講演を聴いて ★
先日(2月7日)北海道がんセンター名誉院長の
西尾正道氏の講演会が開催されました(グリーン市民ネットワーク高知主催)。
氏は40年にわたって3万人以上のがん患者を治療してきた
自称では「藪医」とされる真の名医です。
3時間を超える熱の入った講演の内容は
大変に幅広く、放射線内部被曝の危険性、
それを過小評価するICRPや「御用学者」、
氏の言葉では「隠蔽・嘘・騙し・無責任・不誠実・非科学的」である
政府・行政・専門家会議、
さらには政治・経済一般や社会思想にまで及ぶものでした。
そのお話のほんの一部ですが、この会との関連で注目される内容を紹介します。
一部は当日配布の資料も参照しています。
(講演全体については、録画のDVDと資料冊子が後日有償で提供される予定です。)
TPPというと、もちろん産業としての農業分野のことも問題ですが、
氏の指摘では、もっとも危惧されるのは健康問題であり、
アメリカ産「危険食品」が大量に流入することだとされます。
農薬規制値が大幅に緩和され(=改悪、残留農薬値数十倍から2000倍)、
また遺伝子組み換え食品の大量摂取
(「遺伝子組み換え」表示の撤廃、とくに大豆原料の味噌・醤油・豆腐で深刻)
が防げなくなります。
(EUでは遺伝子組み換え食品は販売禁止)。
家族農業ではなく大量肥育で安価の
(:筆者補足)アメリカ産牛肉には高濃度に女性ホルモン(牛の肉を増やすために投与)
が残留しており、ホルモン依存性がんの多発が危惧されるそうです。
実際、米国からの輸入牛肉の消費量と
ホルモン依存性がんの発生数は相関しており、
ここ30年ほどで5倍になっているとのことです。(
さらには、女性ホルモン投与の影響で初潮年齢が低下するとの指摘もあり。)
豚肉はしばしば耐性菌に汚染されており、
感染症に対する治療に支障が生じる恐れがあります。
残留農薬の問題で深刻なことは、高い発がん性だけでなく、
子どもの神経発達障害を引き起こす毒性が指摘されいることです
(以前の「お便り」に関連のコラムあり)。
アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラム障害や
ADHD(注意欠如多動性障害)、LD(学習障害)などが
激増する原因となっていることが分かってきたとのことです。
これに関してとくにネオニコチノイド系農薬の危険が指摘されており、
EUでは規制と禁止が導入され始めています。
なお関連する障害の増加に関しては、お話にはありませんでしたが、
核実験や原発事故などによる放射能汚染の関与も推定されます(黒田洋一郎他(2014, 291))。
健康問題と同じく深刻なことは、
医療の自由化・企業化による日本の医療保険制度
(国民皆保険・現物給付・自由な受診の3本柱)の解体・改悪だとされます。
国民皆保険の消滅、混合診療解禁・自由診療拡大による
「保険」給付範囲の縮小と(金銭による)患者選別、民間保険加入(していなければ門前払の病院は米国にあり)、医療への株式会社参入、薬価の高騰などなど、
現在すでにアメリカで現実となっている悲惨が
日本でも起こりかねないとのことです。
ちなみにアメリカでは家庭破産の62パーセントが医療費によるそうです。
アメリカのロビー活動資金について見ると、
製薬・医療関係は防衛・武器業界の3倍以上にもなるそうです
(TPPの「おいしい」部分がどこか推測できますね)。
以上、必ずしも中心テーマではありませんが、講演の一部を紹介しました。
米国産食品の危険性についてお話がありましたが、
一方で日本は世界最大の農薬使用国です。
商品としての作物の外観
(びっとでもスリ傷だめナス、東京一直線キューリ、ぴかぴかミカン、界面活性剤でパリッと菜)、
とくに単なる米粒の見かけのために
(カメムシ対策)大量の(ネオニコチノイド系を含む)農薬が
使用されている現実も認識する必要があります。
それに加えて放射能汚染が危惧されるということで、気が抜けません。
現代は知ること(というか正確には知らないこと)が命に関わる世の中です。
西尾先生も指摘されるように、
ご都合主義で被曝限度やその他規制値を緩和するのでは
国民はたまったものではありません。
役人の恣意で、国民に知らせない
秘密を作る(ことも秘密の)法律の危険性はそこにあります。
そんな面倒なことより我が家と我が子の食べ物のことを、
という気持ちはよく分かります。
しかしだれかが勝手に作り出している「諸般の事情」が
そこで止まることを不可能にしているのです。
人間は考える存在です。
皆で手分けして考え、知ることを追求しましょう。