大変興味深い在来野菜が入っていました。
それは、青森県弘前在来の清水森ナンバです。
これで開花25日後に収穫されています。
だいたい12~13cmくらいの長さです。
在来野菜と言うと、その歴史、現在に至るまでのいきさつが知りたくなります。
●まず、「ナンバ」って何?
北海道、東北、北陸では唐辛子のことを「なんばん」と呼びます。
一方で九州では唐辛子のことを「こしょう」と呼びます。
清水森ナンバの「ナンバ」は唐辛子を表す「南蛮(なんばん)」から来ています。
●いつから作られていたの? 京都との関係
津軽地方で400年も前から栽培されていました。
津軽の藩祖であった津軽為信が、京都の伏見稲荷から持ち帰り広めたと言われています。
為信はお礼に、京都から旅行に来ていた農民にひょうたん型のかぼちゃの種を贈り、
それが京都の伝統野菜、鹿ケ谷(ししがたに)かぼちゃになったという説もあります。
しかし、調べても青森の在来野菜の中に、ひょうたん型のかぼちゃは残っておらず、
途絶えてしまったのか、あるいはその説が不確かなのかはわかりません。
●清水森というのは? ナンバの生産量の推移
「清水森」は、弘前市の清水森地区のことです。
昭和30年ごろまではナンバの栽培が盛んで、最盛期には10haほどの作付面積があり、
全国の一大産地として名を馳せていました。
しかし、昭和40年代以降、安価な輸入唐辛子が全国に流通するようになると生産量が激減し、
平成10年ごろには20~30aまで減少しました。
●絶滅の危機の中、どのように栽培されているのか?
清水森ナンバは生産・加工含め129会員しか作ることができません。
絶滅の危機にさらされていることから、弘前大学農学生命科学部で種が作られており、
苗業者に卸し、会員に配られます。
また清水森ナンバは、弘前市、西目屋村、大鰐町、田舎館村、平川市の
5市町村でしか栽培できません。
絶滅の危機を脱しようと、ひたすらに栽培量や生産量を増やすのではなく、
正しい栽培の仕方を学んだ会員のみが生産することで、
清水森ナンバのブランド価値を高めています。
●味と栄養価
唐辛子ですから、青から赤へと変化していきます。
赤くなるにつれて辛みは増していきますが、鷹の爪に比べると辛みはかなり低く、
まろやかな辛みと香りの良さが特徴です。
また、弘前大学農学生命科学部の蔬菜花卉研究室調べによると、
国内の他品種よりも糖分の含量及び、ビタミンC、Eの含量が高く、
栄養価の高い唐辛子という研究結果が出ています。
むやみに生産量を増やすのではなく、品質を保つことを大切にし、
ブランド価値を高めることに重きを置いた、
誇り高い清水森ナンバに出会えたこと、本当にうれしく思います。
これから、この清水森ナンバを使って、清水森ナンバ味噌を作ろうと思います。
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