東京多摩借地借家人組合

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騒音がひどい“欠陥アパート”から退去、引越し費用や損害賠償請求は

2008年02月20日 | 借地借家の法律知識
(Q) 2階2室、1階1室の2階建て賃貸アパートの1階を借りています。2階の騒音が通常生活音で60〜70デシベル(横浜市環境局測定器で計測)あり、睡眠不足から家族が精神不安定になり、長女は入院、妻は通院で睡眠薬を常用するようになりました。

 2階の方は測定に立ち会った翌日に、管理会社から「2階での生活は困難」という理由で賃貸借解除通知を出されて翌月退室しました。

 建築会社に構造調査をしてもらったら、手抜きによる欠陥住宅との回答がありました。管理会社を通じて大家に改良を申し入れたところ、「不服なら退去してくれ」と言われました。この場合、引越し費用や治療費などの損害賠償は請求出来るのでしょうか?

横浜市 hamanoy(自営業)


(A) 引越し費用や治療費などの損害賠償請求ができます2階の騒音が

 2階建のアパートで、2階の騒音が1階に居住するあなたの家族に損害を与えたことになります。具体的には、睡眠不足から精神不安定になり、その結果は長女が入院しました。妻は通院し、睡眠薬を常用しています。すると2階の騒音が昼間だけでなく夜間も影響したとみられます。騒音と家族の健康を害したこととは因果関係があるといえます。

騒音の程度は

 地元の自治体の環境局の測定器の計測では、通常の生活騒音で60〜70デシベルでした。ご質問のアパートの地域が、住居地域か商業地域かあるいは工業地域かは不明です。仮によくある住居地域だとすると、騒音の規制は40か45デシベルです。自治体の条例で決められています。「公害防止条例」とか「環境確保条例」と言われています。ご質問ではアパートの騒音は明らかに騒音規制を大幅に超えています。

騒音の原因は

 建築会社の構造調査の結果、手抜きによる欠陥工事と判明しました。

貸主の大家の責任は

 「平穏にアパートを住めるようにして貸す」という賃貸借契約の目的に違反したことです。ご質問では契約違反から生じた因果関係のある損害をあなたは請求できます。騒音による睡眠不足で精神不安定になり、入院や通院を余儀なくされたことによりこうむった損害です。治療費や入、通院の交通費、入、通院による休業損害の他、精神的損害である慰謝料も入、通院の期間に応じて発生します。

 引越し費用も請求できます。騒音によって、居住に耐えられない環境であるため賃貸借契約を解除するに至り、やむなく転居するのですから、大家側の契約違反による損害といえるからです。

(2007年7月6日 読売新聞)

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