(Q) 居住用の宅地、約100坪(330平方メートル)を賃借しています。今年末に借地期間が満了します。最近、地主から「借地を買い取ってくれないか」との打診がありました。私は定年後の年金生活者なので、資金はあまりありません。高額な買い取り値段では資金調達に不安があります。万一、買い取りができないときは、土地を明け渡し、転居せざるを得ないのでしょうか。また、仮に更新を希望するときは、更新料を払わざるを得ないのでしょうか。いろいろ考えると眠れない日々です。
東京の郊外 M.M(無職)
(A) 買い取りであれ、更新であれ、借地権者であるあなたに選択権がありますから、将来の生活設計を踏まえて、ゆっくりご自分にとって良い方を選べます買い取りの場合
借地権がありますから、更地の評価の60〜70%位が、一般には借主であるあなたの権利です。仮に、坪(3.3平方メートル)100万円の更地価格であるとすれば、60〜70万円が借地権価格です。具体的には、あなたの借地の更地の時価と借地権割合を調べることになります。現地に明るい不動産業者の3社くらいから、評価を出してもらい、その平均値をとります。すると実勢価格がわかります。また、相続税などの評価基準となる路線価格図を見れば、借地権割合もわかります。毎年8月頃にその年の路線価が発表になります。路線価は時価よりもやや安めが多いようですが、評価の目安になります。
仮に、あなたの借地の更地価格が坪100万円、借地権割合が60%とすると、あなたの借地権の評価は全体では6000万円となります。あなたがこの借地を買い取るときは、時価1億円から借地権価格の6000万円を引いた、4000万円(これを地主の底地権と言ったりします)を支払えば、買い取りができます。
全部の買い取りが無理なとき
借地権と所有権の交換という方法があります。あなたの借地権が全体の60%とすれば、あなたが借地全体330平方メートルのうち、198平方メートル分の所有権の取得を目的として、330平方メートルの借地権と交換する方法があります。現実には330平方メートルの土地のうち、40%の132平方メートルを地主に返地することになります。メリットは、現金のやり取りなしで、等価で交換ができることです。地主と交渉してみる価値は十分あります。
引き続き借地を希望するならば
借地契約を更新することもできます。建物所有を目的とする宅地の賃貸借契約は借地借家法で保護されており、正当事由がない限り、更新拒絶はできません。正当事由とは、地主が使う必要性があるときであり、さらに借主は他に土地の手当てができ、借地を明け渡しても困らないことなどが典型例です。しかし、一般には貸主、借主の必要性が衝突し合うことが多く、同じ程度の必要性なら、現状のままになることが多いです。ご質問では地主は買い取りを求めている位ですから、地主の自己使用の必要性はないとみていいでしょう。
更新の際の更新料は
地主は、更新料の支払いを当然に請求できるわけではありません。あくまでも更新前に、地主と借地人との更新料支払いの合意が必要です。この合意があって初めて、地主は借地人に対して更新料支払いの請求ができます。更新料の金額も合意で決まります。したがって、地主が、一方的に強制的に更新料を取れるわけではなく、借地人が、合意のない更新料の支払いを拒否しても、借地契約の解除事由にはなりません。
(2007年9月7日 読売新聞)
借地借家の賃貸トラブルのご相談は
東京多摩借地借家人組合
一人で悩まず 042(526)1094
東京の郊外 M.M(無職)
(A) 買い取りであれ、更新であれ、借地権者であるあなたに選択権がありますから、将来の生活設計を踏まえて、ゆっくりご自分にとって良い方を選べます買い取りの場合
借地権がありますから、更地の評価の60〜70%位が、一般には借主であるあなたの権利です。仮に、坪(3.3平方メートル)100万円の更地価格であるとすれば、60〜70万円が借地権価格です。具体的には、あなたの借地の更地の時価と借地権割合を調べることになります。現地に明るい不動産業者の3社くらいから、評価を出してもらい、その平均値をとります。すると実勢価格がわかります。また、相続税などの評価基準となる路線価格図を見れば、借地権割合もわかります。毎年8月頃にその年の路線価が発表になります。路線価は時価よりもやや安めが多いようですが、評価の目安になります。
仮に、あなたの借地の更地価格が坪100万円、借地権割合が60%とすると、あなたの借地権の評価は全体では6000万円となります。あなたがこの借地を買い取るときは、時価1億円から借地権価格の6000万円を引いた、4000万円(これを地主の底地権と言ったりします)を支払えば、買い取りができます。
全部の買い取りが無理なとき
借地権と所有権の交換という方法があります。あなたの借地権が全体の60%とすれば、あなたが借地全体330平方メートルのうち、198平方メートル分の所有権の取得を目的として、330平方メートルの借地権と交換する方法があります。現実には330平方メートルの土地のうち、40%の132平方メートルを地主に返地することになります。メリットは、現金のやり取りなしで、等価で交換ができることです。地主と交渉してみる価値は十分あります。
引き続き借地を希望するならば
借地契約を更新することもできます。建物所有を目的とする宅地の賃貸借契約は借地借家法で保護されており、正当事由がない限り、更新拒絶はできません。正当事由とは、地主が使う必要性があるときであり、さらに借主は他に土地の手当てができ、借地を明け渡しても困らないことなどが典型例です。しかし、一般には貸主、借主の必要性が衝突し合うことが多く、同じ程度の必要性なら、現状のままになることが多いです。ご質問では地主は買い取りを求めている位ですから、地主の自己使用の必要性はないとみていいでしょう。
更新の際の更新料は
地主は、更新料の支払いを当然に請求できるわけではありません。あくまでも更新前に、地主と借地人との更新料支払いの合意が必要です。この合意があって初めて、地主は借地人に対して更新料支払いの請求ができます。更新料の金額も合意で決まります。したがって、地主が、一方的に強制的に更新料を取れるわけではなく、借地人が、合意のない更新料の支払いを拒否しても、借地契約の解除事由にはなりません。
(2007年9月7日 読売新聞)
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