TBSラジオの、いわゆるナイターオフの番組で、放送枠は毎週日曜日午後6時半頃から、9時頃までだった。2シーズンというのか、2年にわたって放送されていて、最初が1978年秋から79年春まで、次が79年秋から80年春までだったと思うが、最初の方は記憶がなくて、80-81年だったのかもしれない。とにかく覚えているのは80年前後の頃のことだ。
タイトルの通り、洋楽をかけまくる番組で、総合司会は小島一慶さん、レギュラーのコメンテーターは八木誠さん、大瀧詠一さん、山本エミコさんだった。それぞれが専用のコーナーを持っていて、八木誠さんはヒットチャートに関する蘊蓄のようなお話、大瀧詠一さんは彼らしくマニアックな話を披露していた。
八木さんの話で覚えているのは、チャート1位の連続記録とか、ヒットチャートに関するお話が多かった。大瀧さんはビートルズのイントロクイズみたいな回があって、イントロが一番長い曲、短い曲はそれぞれ何かとか、他にもいくつか質問があったが、マニアックでとても難しいクイズだった。
山本エミコさんがどんなコーナーを持っていたのか、良く覚えていない。この方を最初に知ったのは、宇崎竜童さんの番組のアシスタントとして出演していたときで、独特の、元気いっぱいな女の子という話しぶりが印象的だった。たしか一時期少し体調を崩されて、しばらく休んでいたが、その後生島ヒロシさんと平日夜の番組(夜はともだち)を担当された(時期は前後しているかもしれない)。
聴取率は芳しくなかったようだ。スポンサーがなかなかつかなかったようで、一慶さんがリクエストはがきを読みながら「お葉書が来ると言うことは、営業面でもプッシュできるんです」みたいなことを言っていた。
番組をもり立てるため、月曜の朝になったら、昨日グランドポップショーを聞いたかい、と誰彼となく声をかけようという運動(一声と書いて「いっせい」運動)を呼びかけたり、喫茶店に置かれている新聞の、ラジオ欄に赤丸をする(赤丸運動)をみんなでやりましょう、と言ってみたりしていた。
おそらくある時期からはスポンサーが全くなくなってしまったらしく、CMの時間は自社の番組宣伝とか、系列会社(TBSハウジングとか)のCMばかりになっていた。
エンディングで一慶さんが「民放界の良心」とか、「TBSの持ち出し番組」みたいなことを自嘲気味に言っていた。当時でも洋楽番組を2時間半(しかも最新の曲ではない)やるというのは難しかったのだろう。
でも、僕にとっては、いろいろな音楽を教えてくれた貴重な番組だった。カーリー・サイモン、キャロル・キング、O'Jays、グラス・ルーツとか、まだまだいっぱいあると思うけど。一慶さんの番組だから、ヴァン・マッコイとか、シェール「悲しきジプシー」などもかかった。
「悲しきジプシー」については、「もしあなたが古いレコードを置いていある店で、この「悲しきジプシー」を手にする機会があったら、その歌詞を、味わってみてください。とっても悲しい物語なんです・・」と紹介していた。
ヴァン・マッコイは、「この曲は(昔担当していた)深夜放送の後テーマ音楽で、この曲を聴くとつい立ち上がって「そろそろお別れの時間が・・」と言いたくなる」などと言っていた。
録音したカセットは、まだどこかに転がっているはずだ。カセットは、バックアップ用に以前MDに落としたが、目論見と違ってあと10年してもカセットの方が再生機器が残っていそうな感じだな・・。