「ダウントン・アビー」の後を受けて始まったドラマだ。全17回で、先日日曜日に終了した。
1930年代のヨーロッパが華やかに描かれていて、異国情緒を楽しめる。のだが、前半はちょっと話の流れが見えにくくて、ものがたりのリズムも少々緩慢な印象があった。主人公はいちどどん底におちるが、仕立屋としてとんとん拍子で成功していくので、なんだか「おしん」を見ているみたいだな、という妙な感想を持ったりもした。
しかし後半、マドリッドに戻るころから「スパイもの」の本領が前面に押し出されるようになり、俄然ドラマも活気を帯びてくる。依然としてちょっと都合がいいというか、シーラができすぎという印象がぬぐえないのだが、スリルと(ドラマなんだからうまくいくはずと言う)安心感がうまくマッチして、つい見入ってしまうようになる。
登場人物のファッションが、30年代風におしゃれだ。男性もスーツがいちばんきれいだった時代で、みんなかっこいい。
最初はそうでもないのだが、回を追うごとに出てくる自動車の種類が増えてきて、圧巻だ。バスケス所長のシトロエン(だったかな?)、メルセデス、イスパノ・スイザ、パッカードぐらいしか名前がわからないのだが、きれいな自動車が縦横に走る姿は印象的。一体どこでどうやって保存しているのだろう?ダウントンアビーでも、いかにも古そうなバスが出てきていたけど。日本だと保存車自体が少なくて、「日本のいちばん長い日」でも60年代とおぼしきロールス(シルバーシャドウ?)が出てきたりして、ちょっとがっかりする。その辺にこだわるとこんどは「3丁目の夕日」みたいに、それ自体が売りになってしまって、それもまた違う気がするんだよな・・。
非常に女性視点のドラマで(原作がそうなのだろうか?)、どんぱちシーンとか、カーチェイスみたいなアクションシーンはとても控えめだ。そういう細かいドラマ作りに特色があり、なかなか、興味深いドラマでした。