別にファンだとか、そういう意識はしたことはなかったが、とにかくテレビをつければしょっちゅう取り上げられていて、すっかりおなじみの存在だった。もとより、婚約の頃からニュースを通じていきさつを知っている。遠くの親戚より近く、はないけど、いろんなことは自然とフォローしていた。
あの日、というか翌日だったのかな、たしか朝体調が悪かったのだと思うが、午後出社することになった。たぶん、出かけるまでテレビ等も見ていなかったのだろう。当時住んでいた最寄駅から昼頃の、空いた電車に乗ると、反対側の座席でスポーツ新聞を読んでいる人がいる。折りたたんでいるので全体が読めないが、どうやらダイアナさんの記事だ。が、断片的に「死」のような文字がちらついて見える。死んだ?いやだな、そんなこと、起きてほしくないなと、目をそむけた。全体の情報を知ったのはたぶん、その夜のことだったと思う。
空いている電車と、新聞を読む人、このシーンが妙に記憶に焼き付いている。