若い人がツイッターで、この時期に放映されるNHKなどの戦争ドキュメンタリーに飽いたなどとつぶやいているのを見るのは、正直あまりいい気持がしない。
もっとも、僕らが若い頃はまだ将官級の人たちも生きていたし、一部の青年将校たちもつい20年ほど前までは健在だったものが、今ではその世代も100歳に近いとあっては、番組を作る人たちの苦労も並大抵のことではないだろう。
他方、「この世界の片隅に」などが根強い支持を集めているのだから、若い人たちが往時の日本の状況に関心がないという訳でもなさそうだ。
今は今なりの、高度成長期にはその時なりの、戦時もその時期なりの、時代性というのはもちろんあるし、「三丁目の~」とか、連続テレビ小説なんかを見ていると、そういう時代性が前面に出たような表現をされることが多い。それがあまり強調されると、異質な世界、という印象が強くなってしまう。
その一方、人と人、社会と人、時代と人との関係など、いつの世でも変わらないものも、日々の生活にはたくさんある。時代劇(明治、江戸時代以前など)はそれを楽しむというか、味わうもの、(というとらえ方もあるんじゃないかな)。
戦時の日本人たちの行動や生活を伝えるのは、何も証言者を集めて語らせるのが唯一の方法という訳ではない。「この世界の~」は、観客を当時の日本人の視点に引き込んでおいて、すずさんたちと一緒に戦争を体験しなおすことで、観客に強い共感を与えていたのだとおもう。当時の人にしても、戦争は全くの非日常だったのだし、みんなが笑って暮らせるのがいい、と思っていたという点では、現代と何ら変わることはない。