前半は季節の歩みがなかなか進まないように思えた4月でしたが、今日はほんの少し、梅雨を思わせるような、ほんのりとした雨模様でした。
田舎道を(高速でしたが)窓を開けて走っていると、土のにおいがふっと漂ってきます。
車を降りて道を歩けば、木造の家からは家のにおいがします。
雨の日のにおい。
このブログでは以前再三引用していた「ヨコハマ買い出し紀行」14巻「ラジオ」より。
このディストピア感覚は令和を目前に控えた今となると、まさに平成という時代にふさわしい視点だったように思えてきました。
つまり、時代の変化とともに、本書に対する見方がすこし自分の中で「回転」してきた。
平成とはまさに、
「お祭りのようだった世の中」がゆっくりと落ち着き、のちに「夕凪の時代」と呼ばれた時代、
だったのかもしれません。
それと、これも以前はそれほど気にならなかったのですが、アルファさんたちは家族の愛情のようなものの記憶がない。というか体験そのものがない。
時にとても内省的になり、自分のルーツを思い詰めるココネさんも、そのことを気に悩むことはない。
生まれてから、次第に自意識が芽生えてくる頃の記憶はあるらしいけど、そのあたりにもうすら寂しいムードが漂ってきます。
アルファさんにはのちにタカヒロやマツキ、おじさんたちとともに過ごした経験があるし、ココネさんもやがてアルファさんとともに暮らすことで、多少の救いはあるのですが。
まもなく始まる令和の時代には、どのような作品が生まれてくるのでしょうか。