『紆余曲折』
本日、幻冬舎文庫から『天才シェフの絶対温度「HAJIME」米田肇の物語』が発売されました!
(amazonでは売り切れましたm(_ _)m
楽天ブックスにはまだ在庫があります。
「三つ星レストランの作り方」(小学館)を、
幻冬舎文庫が文庫にしていただいたものです。
本の最後のあとがきに石川拓治さんが文章を加えていただき、
ロボット工学者の石黒浩教授が素晴らしい解説を書いていただきました。
最後まで読み応え十分の文庫になっていますので、ぜひご覧になってください。
さて、文庫ができるまでのお話を少ししたいと思います。
私はよくスマートに生きているように思われがちのようなのですが、
全くもってその逆です。
子供の頃から両親には「どんくさい」と言われ続けるくらい、
何をやってもダメ、
またとても引っ込み思案な性格でした。
その上「あまのじゃく」な性格で、
人と違うことをやりたがる反面、
生真面目すぎることから毎回正面突破で壁に頭をぶつけることばかり、
そのせいもあって遠回りばかりして生きて来ました。
しかし、
そうやって紆余曲折しながら生きていると、
スマートに生きるよりも色々なことがわかったり、
人生を噛み締めて味わえる瞬間がたくさん訪れてくれたような気がします。
常にポジティブ思考なので、
勝手な思い込みだと思うのですが・・・(笑)
そんな私の人生ですが、
この前書の「三ツ星レストランの作り方」を出版する際も同じような紆余曲折がありました。
出版をされたのが、2012年の10月です。
その5ヶ月前の5月、
私たちHAJIME はスタイルの大きな方向転換をしたのです。
ランチ、ディナーと2営業をしていたのをディナーのみの1営業にし、
価格も倍近くに価格改正。
さらに、独自性を強めるためにフランス料理店の看板を外して、
HAJIMEの世界観を表現するレストランに変身しました。
それに伴い、メニュー内容も全て変更。
食材を日本各地から再度取り寄せ、
いちから見直し、食器、グラス、椅子、テーブルクロス、
おしぼりなどあらゆるものを変更をしました。
すべては『世界最高峰のレストランをつくる』という目標のための改革でした。
しかし、思った通りには人生はいかないものです。
イノベーションを図ったこの年、
ミシュランからの連絡は二つ星の評価でした。
理由はクオリティではなく、
あまりにも変えすぎたのが原因だったようです。
しかし、そこで焦ったのは、本の題名です。
その年も三つ星であろうと思っていたために、
「三つ星レストランの作り方」というタイトルにしていたのです。
「これは困った!」
とすぐに関係者に連絡をしたものの本はすでに印刷済み。
なんとも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
しかし、
みんなは「一度獲った事実は事実だから大丈夫ですよ」
と励ましてくれ、本の出版となりました。
それから、5年が経とうとしてます。
あの時、
この本に関わっていただいた方々への申し訳なさと、
あの時の本当に悔しそうなスタッフの顔を心に刻んで、
自分自身には発破をかけ、
毎年毎年希望を抱きならがやって来ました。
しかし、現実はそう簡単ではありませんでした。
クオリティをいくら上げても、星が増える要因はそこにはないことがわかったのです。
「本当に日々やるべきことは、星にこだわるよりも、もっと大切なものがあるのではないか」
今一度、初心に戻って最初の頃からやりたかったことへ集中すべきではないかと思ったのです。
その方が、もっと大きな感動を世の中に送ることができる。
その方が価値がある!
そのように考えるようになった時に、
文庫化の話をいただきました。
人生とは本当に面白いものです(笑)
そんな紆余曲折な私の物語がこの本の中に書かれています。
うまくいかずに足掻いている人、
壁にぶち当たりながら生きている人、
そして、すべての夢を追いかけている人にとって、
希望が持てるような内容になっています。
是非是非、ご覧になってください!!!
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この場を借りて。
「ハジメさんのことを世の中に伝えることは、後世のためになる!」
とお話を持って来ていただいた
辻静雄料理教育研究所研究顧問の山内秀文さん、
「三ツ星レストランの作り方」の最初の担当をしていただいた
釣りバカ日誌のモデルの黒笹慈幾さん、
震災のあと、
一旦中断になりかけたのを出版していただいた
小学館の担当の桂浩司さん、
今回、幻冬舎文庫から出版のお話をしていただいた茅原秀行さん、
そして、公私ともに私たち家族の先輩であり、
大切な友人であり、前書から本当に本当にお世話になった石川拓治さんに、
心からの感謝とお礼を伝えたいと思います。