在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

イタリア映画の紹介 Noi e la Giulia 僕たちとジュリア

2015-04-25 20:56:13 | 何故か突然イタリア映画
Noi è la Giulia 僕たちとジュリア



とてもイタリア的な映画だと思った。
人気は上々、結構評判は良いよう。
確かに楽しめる。
同じコメディでも、「日曜日の映画」よりはるかによくできている。
(日曜日の映画とは、あー面白かった、で終わってしまって、心に残るものがない映画)

40代、人生に全く満足していない男3人がひょんなことで意気投合して、街を脱出、アグリトゥーリズムを始めることにする、というのが話の主旨。
ディエゴはしがない車のセールスマン。地味で真面目で、うまいセールストークが全然できない。
クラウディオは、代々続いた食料品店を自分の代で閉めてしまうことになった。おまけに妻は浮気しているようだし、離婚が目の前状態。
ファウストはテレビショッピングのトークマン。派手で贅沢な暮らしをしているが、借金も多い。
この3人が偶然知り合い、一緒にお買い得物件のオンボロ別荘を買い、アグリツーリズムを始めるために改装を始める。当然、そう簡単には行かない。
そこに、手助けをする50代、経験豊富、有能なセルジョが加わり、ただいま妊娠中、かなりイッテル感じの若い女性エリーザも料理担当として加わり、成功を収める。

と、これだけだといたって普通のストーリーなのだが、そこに、カモッラ(カンパーニア州のチンピラヤクザ)が、ショバ代を請求してくる、というところが重要な展開。
昔懐かしオンボロ車のジュリアでやってきたカモッラのヴィートを地下室に閉じ込めて、ジュリアは証拠隠しに土に埋めてしまう。ステレオを消し忘れたこのオンボロ車からは時々クラシック音楽が流れるのだが、つまり、土中から時々音楽が聞こえる不思議な現象が評判となって、これを聞きに宿泊客が訪れるようになる。
その後、最後は、カモッラの「(一応)ボス」に逆襲され、一旦、命あぶなしと逃げるのだが、これではいけない引き返そう、というところでエンド。

カモッラの話がスパイスを効かせたようになっていて面白いが、とにかく偶然と不思議のオンパレード。だからコメディなのだが、ちょっと疲れてしまうところはある。
偶然出会った三人が、お互いを知らないのに大枚叩いてオンボロ別荘を買うのも、土に埋めた車から音楽が聞こえるのも、音楽が勝手に流れるとか、一晩で車を埋めてしまうとか、開業前なのに突然客が訪れるとか、かなりの部分が、こんなこと有得ないよねー。

監督は、俳優でもあり、テレビショッピングのファウスト役の人。無理してカッコ付けてる役柄より、本物の方がはるかに素敵だった。
原作が気に入って、ただし、全部気に入ったわけではないので(正直!)それをちょっと変えて映画化したいと思った、とのこと。(原作者にはちゃんと許可を得たそう)
ちなみに、エリーザ役の女優は本当に妊娠中だった。(原作では妊娠していない設定)
頭をやわらかくしないと楽しめないが、やわらか~くすれば、すごくイタリア的、結構楽しめる映画。