2013年10月松竹座の花形歌舞伎夜の部が楽しめた。
なので急きょ昼の部を見に行った。
『新・油地獄 大坂純情伝(おおざかじゅんじょうでん)』は夫の予想通り、「大坂純情伝」であり、愛之助さんがテレビでおっしゃっている通り、仁左衛門さんの演じられる「女殺油地獄」とは全く別のものであった。
筋書きも何もかも全く違うものであることなのは良い。
だが、面白みに欠ける。
また、「女殺油地獄」のもつ【女の家、立ったまま飲む酒、こどもの日、油本来】の意味など、全てが削除されていた。
柳田邦男氏や宮田登氏他多くの民俗学者も、特に「女殺油地獄」の【女の家】の意味合いなどについては詳しく記されていることを付け加えておきたい。
残念なことに、わたくしが感心しなかった舞台『浪花阿呆鴉』(元禄チャリンコ無頼衆 市川月之助 早乙女太一 新歌舞伎座)とかぶっていた。そのように思わせる場面や台詞が気になり、歌舞伎としての公園であるのならば、個人的には感心できかった。
こういっていてもわたくしの読みが浅いのかもしれない。
近々、近松(原作)を再度洗いなおそうと思う。
もちろん、筋書きを変えようがどう演出しようが、演目名まで変えてあるので問題はないことは承知の上である。
だが、愛之助さんがおっしゃるように、
「はじめは歌舞伎じゃないと思っていた。だが、こんなのもありかなと思うようになってきた(要約)」の様な芝居って何なのかなと疑問を感じる。
また、上手な役者さんが多く出演されておられるので、これではもったいないなと感じた。
歌舞伎を見たことがない観客を増やす方向性は納得がいく。
だが、元はと言えば『新・油地獄 大坂純情伝(おおざかじゅんじょうでん)』は歌舞伎を演じたい一般若者を募集して演じていただく為に「女殺油地獄」を書き換えた台本を練りかえられたという。
歌舞伎を初めて楽しまれる観客のためにはその芝居の骨組みや形や台詞の言い回しになれていただく工夫をされてから、ややソフトにしながらも歌舞伎の持つ本物といえる面白さを味合わせてあげて将来につなげることはできないのだろうかと、考えてしまう。
観客は意外と本物思考の方も多いかもしれない。全てを一本化せず、観客に古典歌舞伎と新しいものを選ばせるくらいの配慮があってしかるべし。古典歌舞伎は関西では見る機会が減り続けるだろうと、悲しい気持ちになる。
わたくしは週一ドラマが苦手で、愛之助さんが出演なさったドラマを見ずにいた。
なので、良い意味でも悪い意味でも愛之助さんサイドに偏って舞台に望まず、ある意味非常に冷静であった。
冷静なわたくしが肩に仁左衛門丈を背負わせて舞台と向き合った『新・油地獄 大坂純情伝(おおざかじゅんじょうでん)』
海老蔵さん故障で急きょ代役してくださった仁左衛門丈の席をかえて三度見た「女殺油地獄」を自ずと希望するわたくしと、『新・油地獄 大坂純情伝(おおざかじゅんじょうでん)』の温度差は激しかった。
とりあえずこのことだけは記録しておきたかった。
なので、花形歌舞伎昼夜記録の前に、舞台雑感として残しておく。
辛口、ご免!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/18/24/7a88d25c2322244086d5b5cca47aa93d_s.jpg)
これはあくまでもわたくしの感じたことでございますので、人それぞれの感じ方でよろしいかと思います。
万一違う場合やご意見などがございますれば、お教えいただければうれしいです。
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皆様、おつきあいくださいまして、ありがとうございます。
多くの皆様のご訪問に心より感謝しております。
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一、新・油地獄 大坂純情伝(おおざかじゅんじょうでん)
河内屋与兵衛 愛之助
お吉 壱太郎
刷毛の弥五郎 亀 鶴
皆朱の善兵衛 萬太郎
天王寺屋遊女小菊 新 悟
おかち 尾上右近
雁金文三 薪 車
山本森右衛門 猿 弥
おさわ 吉 弥
豊嶋屋七左衛門 男女蔵
果心 翫 雀