乱鳥の書きなぐり

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龍田大社 「名に負(か)へる社に 風祭せな」万葉歌 巻9 1751(日本の古典文学全集7、 三郷町HP)

2014-09-07 | ことのは


    龍田大社 「名に負(か)へる社に 風祭せな」万葉歌 巻9 1751 『万葉集2』日本の古典文学全集7 小学館、奈良県 三郷町HP




 先日のこと。龍田大社に行き、高橋虫麻呂の歌碑を見ました。
 日本の古典文学全集7(小学館)を開けてみますと、
   尾(を)の上の 桜の花は 滝の瀬(せ)ゆ 散らひて流る 君が見む その日までには 山おろしの 風な吹きそと…名に負(か)へる社(もり)に 風祭(かざまつり)せな
      と、ありました^^


 

 
 龍田大社境内 高橋虫麻呂の歌碑
 



 難波(なには)に経宿(やど)りて明日(あくるひ)に還り(かへり)来る(くる)時の歌一首 并せて(あわせて)短歌

 万葉歌 巻9 1751
 島山を い行き巡れる 川沿い(かわしひ)の 丘辺(をかへ)の道
 ゆ 昨日(きのふ)こそ 我が越え來(こ)しか 一夜(ひとよ)のみ 
 寝たりしからに 尾(を)の上の 桜の花は 滝の
 瀬(せ)ゆ 散らひて流る 君が見む その日まで
 には 山おろしの 風な吹きそと うち越え
 て 名に負(か)へる社(もり)に 風祭(かざまつり)せな

          『万葉集2』(巻第五~巻第九)P.421を写す
           日本の古典文学全集7 小学館

   竜田神社は穀物に風害の無いように祈る風鎮祭を行い神社として有名
          (『万葉集2』(巻第五~巻第九)P.421 頭注)
   花を散らさないでほしい…風祭(かざまつり)せな

     2010年 龍田大社 風鎮祭


 島山を い往き廻(もとほ)る 河副(かはぞひ)の 丘邊(をかべ)の道ゆ 昨日こそ
 吾が越え來(こ)しか 一夜のみ 宿(ね)たりしからに 峰(を)の上の 櫻の花は
 瀧(たぎ)の瀬(せ)ゆ 落ちて流る 君が見む その日までには 山下(あらし)の
 風な吹きそと 打越えて 名に負へる社(もり)に 風祭(かざまつり)せな

            奈良県 三郷町HP
            (http://www.town.sango.nara.jp/shogaigakusyu/kanko/manyouka/manyouka_01.html)

 嶋山乎 射往廻流 河副乃 丘邊道從 昨日己會
 吾超來壯鹿 一夜耳 宿有之柄二 峯上之 櫻花者
 瀧之瀬從 落堕而流 君之將見 其日左右庭 山下之
 風莫吹登 打越而 名二負有社尒 風祭為奈

 作者 高橋虫麻呂
 天平6年(734年)頃。
 龍田越えの峠か亀の瀬付近。
語釈
○〔經宿〕一夜を宿る意味の語。何らかの都合で慌しく還ることとなった。
○〔島山〕蛇行する河に山が突出して島のように見える所。大和の京の宮人は、海を懐かしむ心から、聊(いささ)かの水にでも海と重ね合わせている。ここでも竜田川を隔てて見る山を島山と呼んでいる。
○〔風祭〕花を散らさぬようにする祭り。
解釈 島山を行き廻っている河の、その河沿いの丘の辺りの道を通って、つい昨日吾は難波へと越えて行ったのであったが、ただ一夜泊まっただけであったのに、峰の上の桜の花は激流の瀬から、散り落ちて流れて行く。天皇が御覧になられるその日までは、花を散らす風は吹かないでおくれ。この山を越えて風神として名高い龍田大社に、風祭りしよう。
歌の心と背景 天皇に何としてでも、この愛(め)でたい桜の花をご覧に入れたい。それ迄は、この花を散らす風の吹かないように、龍田大社の風の神に風祭をしよう。と云う熱意に満ちた歌である。往時は龍田の神に対する信仰は深いもので、今日では想像しがたい強いものがあったと思われる。年々催行された風祭は、天皇が庶民の為に行われる祭りであったが、今しようとするのは庶民に近い虫麻呂が、天皇に山桜の美観をご覧に入れたい、との心よりのもので、虫麻呂の心情がよく現れている。
※この歌の碑が平成19年4月に、奈良女子大学地域貢献事業の一環として同大学院教授
坂本信幸先生の揮毫により寄贈され、歌にふさわしい龍田大社の境内に設置されました。  奈良県 三郷町HPより





 

 
 龍田大社
  奈良県生駒郡 三郷町立野南1丁目29-1


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