乱鳥の書きなぐり

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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 77 三十三丁表 三十三丁裏 と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9 富田高至 編者

2020-10-14 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語
恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 77 三十三丁表 三十三丁裏 と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

富田高至 編者

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

下 77 三十三丁表 三十三丁裏

 

三十三丁表

◯をかし、田村と云 能ありけり、その時の大夫、高安と

いふ、今もありけり、それを呼て、天王寺にて、三日しける、

人/″\、提(サケ)食籠もてきたる、もてきあつめたる、くひ

物、千ゝハかりあり、そこばくの提重箱を木の枝に付て

 

三十三丁裏

堂のまへに立てたれハ、山もさくらに堂の前にひかり出たる

やうになむ、みへける、それを「謡衆にありける藤市の

何ゆきかとか申すゐたり、祝言のをハる程に、歌読む人

/″\を招き集て、「けふの御能を題二てあ云(ママ 春)の心

ハヘある歌たてまつらし給へ、」と云、右の馬の大夫

なりける翁、目ハたかりながら、よみける、

   山婆の をハりて後の狂言ハ

   腹しつきれて わらふなるへし

とよみけるを、今見れハ、よるもあらさりける、その

かみとこれやまさりけん、をかしかりける、

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊       

   山婆の をハりて後の狂言ハ

   腹しつきれて わらふなるへし

  

『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

   山のみな うつりてけふにあふ事は

   春の別れを 塗布となるべし

 

提(サケ)食籠  (さげじきろう)

 提げることができる食籠

 

食籠(じきろう)

 〘名〙 食物を入れる漆器で、手に提げて持って行くようにしたもの。多く、丸形。

 ※言経卿記‐慶長三年(1598)九月二七日「常楽寺女中よりさけ食籠送給了」
 
食籠(じきろう)
 
 1 食物を盛る器。ふたがつき、円形または角形。重ね式のものもある。
 
 2 茶の湯で、菓子器などに使用されるふたのある器。
 
 
千ゝ (千
 
 たくさん、くらいの意味だろう。
 
 
そこばく  【若干・許多】 副詞  (「そくばく」とも。)
 
  ①たくさん。
  数量の多いさま。
  出典伊勢物語 七七 「そこばくの捧(ささ)げ物を木の枝につけて」
  [訳] たくさんの贈り物を木の枝につけて。
 
  ②たいそう。ひどく。▽程度のはなはだしいさま。
   出典狭衣物語 三
  「そこばく広き大路、ゆすり満ちて」
  [訳] たいそう広い大通りに(見物人たちが)ざわめいて。
 
  ③若干。いくらか。
   出典宇津保物語 吹上下
  「そこばく選ばれたる人々に劣らず、ご覧ぜらる」
  [訳] (涼(すずし)は)何人か選ばれた人々にも劣らないと、(院は)ご覧になる。
 
 ここでは、 ①たくさん。数量の多いさま。
 
 
謡衆
 
 地謡衆の意味か。
 
あ云(ママ)
 
 はる(春)
 
 
馬の大夫
 
 右の馬の大夫という意味
 
 右馬寮(うめりょう/うまりょう)  ←→ 左馬寮(さめりょう/さまりょう)
 
 馬寮 (めりょう) の允 (じょう) で五位に叙せられた者。
 
 
馬寮 (めりょう) の允
 
 馬寮(めりょう/うまのつかさ)は、律令制における官司の一つ。
 
 唐名では典厩(てんきゅう)。
 
 
目ハたかりながら、よみける、
 
 (人)目をはばかりながら、詠みける。
 
 

そのかみ

 その当時

 
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