乱鳥の書きなぐり

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さらぬだにをもきがうへの小夜衣 わがつまならぬつまな重ねそ 新古今『仮名手本忠臣蔵~大序・三・四段目』

2011年10月13日 | ことのは



          『仮名手本忠臣蔵~大序・三段目』『仮名手本忠臣蔵~四段目』



              







 先日亡くなられた中村芝翫丈の名演技が光る『仮名手本忠臣蔵~大序・三段目』『仮名手本忠臣蔵~四段目』を見た。

『仮名手本忠臣蔵~大序・三段目』では 中村芝翫さんと富十郎さんの間が素晴らしい。

 富十郎さんの憎々しげな助平面(役柄)と中村芝翫さんの品の良い所作と表情のギャップは見事。

 塩冶判官(芝翫)の美しい妻(時蔵)にいいより、ふられ、後に塩冶判官は一通の手紙を持ってくる。




 【さらぬだにをもきがうへの小夜衣わがつまならぬつまな重ねそ】(新日本古典文学大系 (緑) 写す)
 



「ぅん?新古今か……。淑女じゃのう…淑女じゃ、淑女じゃ。淑女じゃのう!(要約)

 高師直(富十郎)の「ぅん?新古今か……。淑女じゃのう…淑女じゃ、淑女じゃ。淑女じゃのう!」に始まり、

「おぬしのような人間を,井の中の鮒(フナ)というんじゃ。(と,理由が続く)

「おぬしの顔が鮒に似てきおったわ。鮒じゃ鮒じゃ。」

 ………など、聞くに絶えない悪口雑言を浴びせ続ける。

 これが発端となり、刃傷沙汰に発展。


 
 とらえられた塩冶判官の切腹の場である『仮名手本忠臣蔵~四段目』へと続く。

『仮名手本忠臣蔵~四段目』の芝翫丈の、
「良之助はまだかぁ~っ。」 
「はぁあぁ…,まだ…で…ございま…すぅ……」(芝雀)
は、見事。


 1986年中村芝翫丈の『仮名手本忠臣蔵~大序・三段目』『仮名手本忠臣蔵~四段目』は素晴らしい舞台だった。






 新古今和歌集の【さらぬだにをもきがうへの小夜衣わがつまならぬつまな重ねそ】の【つまならぬつまな重ねそ】の部分だけ覚えていたわたしは、まず『八代集総索引』で調べ、【さらぬだに重きが上のさよ衣わがつまならぬつまな重ねそ】に辿り着いた。

 面白いことに岩波の赤では1964、岩波の緑では1963となっていた。

 解説を読むと緑の方が具体的で分かりやすい。



  


 (新日本古典文学大系  写す ▼)


   新古今和歌集  1962  寂然法師

   不邪淫戒(ふじゃいんかい)

 さらぬだにをもきがうへの小夜衣わがつまならぬつまな重ねそ

 

 ただでも夜の衣は重いのに,その上に自分のただでさえ重い夜具の上に、自分の褄(つま)でない衣の褄(つま)を重ねるな。

 女犯そのものの罪が重いのに,そのうえ、わが妻でない人妻との関係を重ねてはいけない。『唯心房集』 

           さらぬだに = 邪淫なだけでなく、女犯はすべて煩悩に染まった重い罪   




『仮名手本忠臣蔵~大序・三段目』に【さらぬだにをもきがうへの小夜衣わがつまならぬつまな重ねそ】を持ってくるのはぴったりだと感じた。

 
 





仮名手本忠臣蔵~大序・三段目

出演:中村芝翫 市川團十郎 中村時蔵 中村橋之助 中村富十郎
1986年
120分
カラー
衛星劇場では三ヶ月連続企画として、昭和61年の名舞台『仮名手本忠臣蔵』の秘蔵映像をテレビ初放送でお届けする。 「大序・三段目」 <鶴ヶ岡社頭兜改め・足利館門前進物・同松の間刃傷> 「大序」は荘重な雰囲気のなかこれから起こる事件の発端を描く場面で、儀式性、色彩美に満ちた一幕。「三段目」は塩冶判官が高師直の悪口雑言に耐えかねて刃傷に及ぶまでの心理描写がみどころ。芝翫の塩冶判官、團十郎の桃井若狭之助、時蔵の顔世御前、そして富十郎の高師直という豪華顔合わせで。(1986年/昭和61年2月・歌舞伎座)



仮名手本忠臣蔵~四段目

出演:中村芝翫 片岡孝夫(現・仁左衛門) 市川左團次 中村芝雀 中村時蔵 市川團十郎
1986年
105分
カラー
衛星劇場では三ヶ月連続企画として、昭和61年の名舞台『仮名手本忠臣蔵』の秘蔵映像をテレビ初放送でお届けする。 「四段目」 <扇ヶ谷塩冶判官切腹・同表門城明渡し> 「四段目」は、死装束を身にまとい最期の時に臨む塩冶判官、駆け付ける大星由良之助、そして由良之助が仇討ちの決意を固める幕切れまで、緊迫感に満ちた重厚な場面が続く。芝翫の塩冶判官、團十郎の大星由良之助、時蔵の顔世御前、孝夫(現・仁左衛門)の石堂右馬之丞という豪華顔合わせで。 (1986年/昭和61年2月・歌舞伎座)











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2 コメント

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広島弁はステキですね☆ (Rancho)
2011-10-14 13:36:34
 SiSiさん、嬉しい楽しいコメントに感謝感謝(*^D^*)ありがとうございま~~すでございます☆♫♬

 広島弁みたいなのですか?(笑)芝居では「じゃのう」って多く出てきます。男らしい言葉で、場が盛り上がります…その点京都弁なら「淑女やなぁ」で、この場合では弱い(笑)バカ違った、若旦那の和事の芝居みたいになりそうですね。

 SiSiさん、古典の授業退屈だったのですか?はじめの頃から歌や俳句を教えて下さっていたので、そんな風に思えませんでした!お陰で今では少し興味を持ち始めました(^^)サンキューです。
 
 高校の頃に好きになった歌がありました。
    憶良らは今は罷らむ子泣くらむそを負ふ母も吾を待つらむそ
 同じくまじめなご年配の先生には次のように教えていただきました。
 場を崩さずぬように 親指に力を入れ座ったまま少しずつあとずさりして帰ろうとする憶良の優しさが感じられるうた…☆場の空気読めるわ^^思いやりあるわ^^で、女性の理想の歌?
 古典の授業はなつかしいです。

 SiSiさん、今日は雨が降り始めました☆広島も雨ですか?明日は東大寺の慶讚能の予定でしたが、生憎の天気です(泣)ざんね~~んです☆
 SiSiさん、楽しいお時間をお過ごし下さいネ
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淑女じゃのう (SiSiです。)
2011-10-14 08:29:24
淑女じゃのう‥広島弁みたい(笑)

恋せずは 人は心もなからまし もののあはれも これよりぞ知る

高校授業で、一番退屈で馬鹿みたいな授業が古典でした。先生の影響が強いのでしょうが、洒落のひとつも言えない堅物のオジサンが、訳もわからん難解な古文や漢文を一時間朗朗と喋ってその授業はお終い。まったく授業内容が身についていない、興味がわかない、だから古文がキライ‥RANCHO様の書かれているような、色ものや昔の人の’情’をくめる授業をしてくれると、ぜんぜん人間性やその時受けた学生の将来が変わっていた‥そのように思うのですが如何ですか。RANCHO様の学生時代は先生達に恵まれたのでしょう、キット。
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