2015/09/22
「『敦盛』と『生田敦盛』異なれる生田は遺児との交流を舞う
(金春禅鳳作
シテ:敦盛の霊
子方:敦盛の遺児
ワキ:法然上人に仕える者)」
「敦盛は海に逃げんと須磨に行き武将に呼ばれ討たれたるかな(敦盛17才、敵は後の蓮生法師)」
「捨て子いて法然上人拾いたり十才の頃素性がわかる(説法の場である女が敦盛の子であること明かす)」
「男の子賀茂明神に誓願し一目あいたし父の敦盛()」
「小坊主が居眠りをせば夢枕摂津の国の生田にいけと()」
「早々に生田に行けば日暮れ時灯りを頼り庵を訪ぬ()」
「庵には甲冑を着た若武者がわれは敦盛よう来たわが子と()」
「世が世だと御曹司だと哀れみてしばしの逢瀬悦び告げる(あなたの願いを閻魔が聞いてくれたと)」
「都落ち生田の戦い語りつつ逢瀬喜び舞える敦盛()」
「閻魔から帰り遅いと使い来て修羅の道へと戻されにけり()」
「修羅さりて暁が来て敦盛は弔い頼み消え失せにけり()」
2015/09/18
「神代から淤能碁呂島といわれてし淡路島への旅に始まる
(前シテ:老人
後シテ:伊耶那岐命
前ツレ:男または姥
アイ:在所の者
ワキ:臣下
ワキツレ:従者)」
「淡路島田んぼで耕す翁姥あり田の入り口に御幣を立てる(帝の臣下が)」
「尋ねればその田で米を作りては二ノ宮さまに供えるという()」
「二ノ宮は伊耶那岐・伊耶那美のことなりし国生みをした尊い神と(伊耶那岐:種を蒔き、伊耶那美:種を収む)」
「かくいいて翁と姥が山に消え臣下はさらに二ノ宮を調ぶ()」
「真打ちの伊耶那岐命あらわれて神代寿ぎ祝いの舞を()」
「舞のなか淡路島には上空に天の浮き橋ありて祝うと()」
2015/09/15
「世阿弥作『貫之集』にある歌を下敷きにした演目なりし
(シテ:宮守
ワキ:紀貫之
ワキツレ:従者)」
「雨雲の立ち重なれる夜半なればありとほしとも思ふべきかは(貫之)」
「玉津島神社に詣る途路のこと大雨に遭い馬もたおれる()」
「宮守が現れ怒る境内に馬乗り入れるとは咎めだと言う()」
「よく見れば鳥居神殿あるを知り貫之わびる汚したことを()」
「宮守は貫之に歌を詠みたれば神も喜ぶ詠いなされと()」
「宮守に祝詞と舞を所望して踊り慰む祭神のこと()」
「それとなく宮守こくるわがことを蟻通しなる明神なりと()」
「神の加護喜び旅を続けたり馬も元気に玉津島へと()」
2015/09/12
「吉野から嵐山にと移植した桜を愛でるシンプルな能
(
後シテ:蔵王権現
前シテ:花守の老人
前ツレ:花守の姥
後ツレ:木守明神
後ツレ:勝手明神
アイ:末社の神
ワキ:勅使
ワキツレ:従者
)」
「美しい桜が前に出た能でジャンルあるなら風流能と(禅鳳:金春禅竹の孫)」
「勅使らが桜の開花見に来れば爺と姥が出てきて自慢()」
「この桜神木であり神の庇護木守と勝手明神守る()」
「嵐山風吹きたれど明神が睨みを効かせ散るを防げる()」
「何隠すかく言う我ら明神で世を寿ぎて吉野の方に()」
「ややありて末社の神が現れて勅使もてなす決まりの舞で()」
「夜になり木守と勝手の明神が嵐山愛でつ舞を披露す()」
「いよいよか瑞雲たなびき吉野なる蔵王権現現れ云える()」
「衆生を助けて国土守らんと誓いあらたに春を祝える()」
2015/08/31
「この能は三島が劇に仕立てたり能楽集の『綾の鼓』に(
前シテ:庭掃き老人
後シテ:老人の霊
ツレ:女御
ワキ:臣下
アイ:従者
)」
「庭掃きの老いが女御に恋をして逢えるといわれ鼓を打てる()」
「打ちたれど鳴らぬ鼓はからかえる女御が綾を張れる鼓と()」
「絶望し老いは女御を恨みつつ池へと飛び込み命を絶てる()」
「老いの死を従者・臣下は女御へと知らせ池へと誘いたり()」
「うつつない女御のまえに霊が出てなぜに騙すと女を責める()」
「その怒り姿が悪蛇に変わるほど女御を呪い池に消えたり()」
「綾鼓この目で見なけりゃわからない惚れたとはいえ恨むほどかな()」