感想:アウトレイジ 最終章

2017-11-03 10:53:45 | 映画


公式サイト

邦画が好きと言っておきながら
北野映画を全然観たことがなかったんだよな。
だってヤクザ映画って怖いじゃん…。


しかし昨年、ふとしたきっかけで
『ソナチネ』を観て衝撃を受けた。

同じ日本でありながら別天地である沖縄は
作品の舞台としてはちょっとズルい気もするが
そのズルさすら逆手にとった脚本と演出。
静と動の中に生まれる狂気が芸術のレベルに達していた。



まあそんなわけで公開中のこの映画を観たわけだが
期待していた芸術性などどこ吹く風の純然たる極道エンタメ。
もっとヤクザっぽい演技のできる俳優ならいくらでもいるのに
あえてテレビに出まくってるおっさん俳優を集めたことでも
娯楽性の高さを狙ったことがうかがえる。

そして御存じの通りたけしの滑舌の悪さと演技のヘボさ。
にもかかわらず、そのとてつもない存在感に脳が揺れる。
仁義にもとづいてぶっ殺しまくる古臭い極道の大友を
不気味に演じ切るオーラは唯一無二。
昔の明るいイメージで人気のあったたけしならともかく、
今のたけしはCMでふざけた役をやっていても怖いもんな…。


敵対勢力である花菱会の面々も全員キャラが立ってて面白い。

実権を直接預かって会長となったインテリヤクザの野村こと大杉連。
幹部会に一人ポロシャツで出席する空気の読めなさが
自然と観客にも違和感を抱かせ、レールに乗せられているかのごとく
期待された末路へ向かう爽快感。

カシラの西野が西田敏行。
自分が最近観た映画では今にも死にそうな役ばかりやっていたが
作中での啖呵や恫喝が全俳優の中で最高の迫力だった。
性格俳優としてヤバすぎでしょこの人。
ストーリーにおける配役のポジションもいい。演技での説得力が抜群すぎる!

下っ端幹部の花田がピエール瀧。
ここ数年で俳優としてものすごく格を上げて驚いた。
『64』の原作では主人公の刑事がひたすらブサイクであることが強調されてたので
映画版の佐藤浩市よりTVドラマ版のピエール瀧がまさに最適解。
ブサイクというよりも、その「ゴツい面構え」がバッチリイメージに合ってた。
そんな気弱なヤクザ顔のピエールが、自ら火種を撒いた抗争のなかで
ヤクザの縦社会を成り上がっていく様がこれまたたまらなく面白い。



うむー。

『仁義なき戦い』なんかも確かに面白いんだが
たけし特有のエスプリというか、コメディアンとしての間の取り方や
人間の滑稽さを絶妙に織り込んだエンターテイメント。
実に楽しかった。非常に満足。

時間があれば過去作も観たいな…。
配信で買えるサイトってあるのかな。

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