阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

重大な憲法違反-イラク戦争への給油

2007年09月25日 03時15分34秒 | 政治
 テロ特措法により、アフガニスタンにおける「テロとの闘い」を支援するために使われているはずの燃料が、イラク戦争に流用されているようだ。アメリカ海軍中央司令部&第五艦隊のウェブサイトには、「日本政府は、イラクでの「不朽の自由作戦」の開始以来、86,629,675ガロン以上の燃料(7,600万ドル以上相当)を貢献した」という内容が掲載されたそうだ。(後に削除)

 86,629,675ガロンを換算すると約33万klである。この問題を提起している江田憲司衆議院議員によれば、「日本政府は、インド洋でこれまでアメリカに、38万klの給油を行ったと発表しているので、給油の約85%が、アフガンではなく、イラクの作戦に使われていることになる」そうだ。

 これが本当であれば、テロ特措法の本質は「大量破壊兵器がある」ことを表の理由にして攻撃を行い、泥沼のイラクを作り出した「ブッシュの戦争」への後方支援だったのだ。
 
 これは、まさにそれだけで「政権が吹っ飛ぶ」ほどの重大な憲法違反であり、国民への裏切りである。当時の小泉首相、官房長官だった次期福田首相、さらに安倍首相、そして防衛大臣や外務大臣が知らなければ、大変な問題であり、知っていれば、まさに国民をだまし続けていたことになる。安倍首相の逃亡によって、政権は吹っ飛んでしまったが、しかし、この問題への追求がうやむやになってはならない。

 派閥力学により勝ち馬に乗ろうと雪崩を打った自民党議員により「始まった瞬間に消化試合」になった総裁選。国会が空転する一方、自民党によるCMのような茶番劇によって、この問題が大きな報道をされることもなく「黙殺」されていることに大きな怒りを感じる。

 国連は「洋上ガソリンスタンド」を感謝する決議を出したが、実態は、テロ特措法を通したい安倍政権が米国に頼み込んだらしい。棄権したロシアには「日本の国内政治を安保理に持ち込むな」と舞台裏を明かされ、これまた茶番であることが判明した。本当にみっともない話である。

 2004年10月、私はアフガニスタン大統領選挙の支援活動に赴いたが、アフガニスタンの人々は、生活の安心を守る直接的な支援を求めていることを痛感した。「使途不明の洋上ガソリンスタンド」ではなく、戦争で荒廃した農村の復興、元兵士の社会復帰支援、教育、医療など、現地の人々が本当に求める協力をすべきであろう。真のテロとの闘いとは、テロを力で押さえ込んで憎しみの連鎖を引き起こすことではなく、テロの根本原因である貧困の解決と和解を促進することなのだ。

 江田憲司衆議院議員が、この問題を徹底的に調べ問題提起を行ったことには敬意を表したい。長妻昭衆議院議員が「消えた年金」問題を追及し、さまざまな事実を明らかにしたように、ひとりの議員の努力によって、葬り去られようとしていた事実があきらかになり、政治が少しでも正しい方向に向かう状況を作り出せるのだ。

 日本政府が否定し続けている燃料のイラクへの流用。そして、明らかにされない給油活動のコスト。そして、イラクへの燃料の流用と国民への隠微という大スキャンダルが検証された時、誰がどのように責任を取るべきなのか。国政調査権を行使できる臨時国会において、徹底的に追求・議論し、テロ特措法の本質を明らかにすることは民主党の責任である。そして、給油活動への対案として、現地の人々の生活を守るための政策を提示し、テロとの闘いとして日本に相応しい活動は何なのか、国民に問いかけるべきであろう。


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