阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

あらゆる事態を想定して準備を-尖閣諸島問題の教訓

2010年09月26日 00時21分14秒 | 政治
 尖閣諸島沖で中国の漁船と巡視船が衝突した事件で、那覇地検は公務執行妨害で逮捕した船長を処分保留のまま釈放しました。日本の弱腰外交が、中国との関係を今後も不条理なものにするのではと、憤慨しています。

 内政で都合の悪いことがおこれば、外交問題を「演出」までして国民の思いを一致結束させる、そんな手法を取る国は沢山あります。今回の事件は民主党政権にとって試金石であり、国民の気持ちをひとつにする大チャンスとさえ思っていたのですが…。中国がどんな措置を取ろうと、総理自身が断固とした意思を示し、「国際社会のルールを順守すべき。尖閣諸島は日本固有の領土。主権国家として対応する。国際社会にも理解を求めたい」と毅然と対応すべきでした。その上で、前回のブログにも書いたように議員外交を機能させ、双方にとって最適な着地点を探り、ウインウインの関係で決着できるよう秘密裏に交渉すべきと思っていたのですが…。

 結局、日本は圧力に屈したと、中国そして世界に思わせるタイミングで処分保留にしてしまいました。那覇地検の判断ということになっていますが、こんな大きな判断を那覇地検が独断で行うとすれば、それこそ官僚主導ということになります。「日中関係をこれ以上こじれさせないため高度な政治判断をした」のだとしても、国民に説明できない判断がされたとすれば残念という他ありません。

 このような事態に至った際の対応を最初の段階から幾通りもシュミレーションして準備する、そんな危機管理が決定的に欠けていたと思います。これでは前政権と何ら変わらないことになります。

 私は、中国は、日本そして米国がどのような対応をするか、見極めようとしていたと感じています。クリントン国務長官やゲーツ国務長官から尖閣諸島への日米安保条約適応のメッセージを得たことは成果かもしれませんが、南沙諸島や西沙諸島で領土問題を抱える東南アジア諸国もショックを受けていることでしょう。

 外交という国の威信を賭けたケンカで完敗した悔しさも募ります。理不尽がまかり通るような事態を二度と繰り返さないように、あらゆる事態を想定して準備を重ねなくてはなりません。27日にはこの問題について外務、法務、国土交通省の合同部門会議があります。同じ失態を繰り返すことがないように強く政府に求めます。