ドナルド・キーン『明治天皇』(四)(新潮文庫、2007年5月)
この第四巻が完結編となり、日露戦争、韓国併合、大逆事件、そして明治天皇の崩御が扱われています。
この巻では明治天皇と同時代の外国の君主との比較が多いですね。西欧では君主の銅像や石像を建てるということが普通に行われているが、日本では明治天皇の銅像は一切建てられなかったこと、また日露戦争に関わったロシアのニコライ2世やドイツのヴィルヘルム2世と比べて明治天皇がいかに理想的な君主であったか、また天皇自身が国民にとって理想的な君主であろうとしたかが指摘されています。(どうにも比較対象が悪すぎるような気がしますが(^^;) )
更に伊藤博文を暗殺した安重根は単純な反日主義者というわけでもなく、実は明治天皇を尊敬しており、奸臣伊藤さえ除けば韓国の独立と東アジアの平和が達成されると考えていたこと、また大逆事件で逮捕・処刑された幸徳秋水も当初は明治天皇を尊敬していたことについても触れられています。彼らも岩倉具視や西郷隆盛らと同様、自分の脳内で勝手に理想の天皇像を作り上げて萌えていただけなのでしょう……
急激な変革の時代にあって、日本人だけでなく外国人からも熱烈に萌えられ、天皇自身も出来る限りそれに応えようとした、そのことが明治天皇の実像を見えにくくしている一因なのかもしれません。このシリーズを読んでいてそんなことを感じました。
この第四巻が完結編となり、日露戦争、韓国併合、大逆事件、そして明治天皇の崩御が扱われています。
この巻では明治天皇と同時代の外国の君主との比較が多いですね。西欧では君主の銅像や石像を建てるということが普通に行われているが、日本では明治天皇の銅像は一切建てられなかったこと、また日露戦争に関わったロシアのニコライ2世やドイツのヴィルヘルム2世と比べて明治天皇がいかに理想的な君主であったか、また天皇自身が国民にとって理想的な君主であろうとしたかが指摘されています。(どうにも比較対象が悪すぎるような気がしますが(^^;) )
更に伊藤博文を暗殺した安重根は単純な反日主義者というわけでもなく、実は明治天皇を尊敬しており、奸臣伊藤さえ除けば韓国の独立と東アジアの平和が達成されると考えていたこと、また大逆事件で逮捕・処刑された幸徳秋水も当初は明治天皇を尊敬していたことについても触れられています。彼らも岩倉具視や西郷隆盛らと同様、自分の脳内で勝手に理想の天皇像を作り上げて萌えていただけなのでしょう……
急激な変革の時代にあって、日本人だけでなく外国人からも熱烈に萌えられ、天皇自身も出来る限りそれに応えようとした、そのことが明治天皇の実像を見えにくくしている一因なのかもしれません。このシリーズを読んでいてそんなことを感じました。