土日シリーズ「DTPの構造を考える」です。
このシリーズ、はじめは、本をトップにして、その下の物理構造、論理構造と組版規則について書きました。
次に、本という概念をこえ、DTP全体でもつものについて、書いていて、ライブラリ、フォントまできました。
今回から、色です。
■パソコンの色と印刷の色
パソコンの場合、画面は、R(赤)、G(緑)、B(青)の光を発色して表示します。
なので、RGBの%が大きくなると、しろっぽくなり、R=100%、G=100%、B=100%は、白になります。
一方、紙のインクは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー:黄色)、K(ブラック:黒=スミ版)で表します。GMYKの%が大きくなると黒っぽくなり、CMYK=100ならまっくろです。というか、C=100%、M=100%、Y=100%でも真っ黒です。
じゃあ、Kはいらないのか。。。というと、今は、なくても黒を出せるようですが、その昔、インクが今ほど良くなかった時代は、C=100%、M=100%、Y=100%というのは実現できませんでした(インクがそんなにいっぱい載らなかった)。
そこで、黒を出すには、C=100,M=100,Y=100にするのではなく、K=100にして出力していました。それでCMYKがあります。
(今は速乾性のインクになり、C=100,M=100,Y=100はできる?かも。。??)
で、そーいうことで、C=50%、Y=20%、M=30%のようなとき、みな20%以上なので、この部分を、K版で補い、C=30、Y=0、M=10、K=20%にするような処理(実際には、ここまでやっちゃうとイメージかわるので、こうはしないけど)を下色除去(したいろじょきょ)といいます。UCRと書きます。
ただし、UCRした色と、CMYそのまま載せた色では、色の感じが違うそうで(コントラストが違うのかな、インクがそれだけ載るので)、いまはUCRをそんなにかけない場合のほうが、おおいのかしら。。。どーなのかな??
■RGBとCMYKの関係
なお、RGBとCMYというのは、補色の関係になっているそうです。
そこで、理論的には、RGBとCMYKの関係は、以下の式で表せます。
(以下の式は、Postscript リファレンスマニュアル(いわゆるレッドブック)の第二版、6.2.3 DeviceRGBからDeviceCMYKへの変換の339ページから引用してきました)。
C=1.0-red
m=1.0-green
Y=1.0-blue
k=min(c,m,y)
ここまでは、補色と、スミ版のKを求めています。
で、以下変換式
cyan=min(1.0,max(0.0,c-UCR(k))
magenta=min(1.0,max(0.0,m-UCR(k))
yellow=min(1.0,max(0.0,y-UCR(k))
black=min(1.0,max(0.0,BG(k)))
ここで、UCR(K)は、スミ版(黒)の値に対し、実際にUCRをおこなったことによって、減らせる、CMY各色の量、BGは、UCRを行ったことによる必要な黒の量です。
なお、上記はCMYKとRGBですが、以前、RGBとグレーの変換については、ここ
ぬり絵は、脳力の老化防止にいいらしい。ということで、パソコンでやろうと思ったら。。
http://blog.goo.ne.jp/xmldtp/e/c8931e944074d5489bcbc1e03b6971cd
で書いています。ついでに書いておくと、
gray = 0.3*red + 0.59 * green + 0.11*blue
gray = 1.0 - min(1.0,0.3*cyan+0.59*magenta+0.11yellow+black)
です。
■しかし実際には。。
しかし、実際には、このようにはなりません。
それは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色が純粋にその色ではないからです。
多少の色の混ざりなどがあります。
そのため、DTPソフトにとっては、どの会社のインキのCMYK(プロセスカラー)と指定できるものもあります。
■特色(とくしょく)
印刷において、上記のCMYKは、プロセスカラーと言われます。
ところが、これ以外のインキもあります。メタリックカラーといわれる、光沢のある色とか、金粉、銀粉、あとCMYKでは出せない(出しにくい)色などなどです。
これらの色は、特色(とくしょく)といわれます。色見本帳があって、その中から色をえらびます。DTPソフトでは、これらの特色を選べる仕組みをもっていますが、ワープロソフトではまず、選べないと思います。
なお、DTPソフトでも、特色を選んだ場合、かならずしも、表示色が実際の色と一致するとは限らないと思います(いや、どんなにがんばったって、金粉を画面上ではひょうげんできないっすよ。金色っぽく見せられますけど、ディスプレイは光んないっす)
■2色刷り、3色刷り。。。
なお、一般には4色ですりますけど、お金がない人がチラシを出すような場合(^^;)2色刷り、3色刷りというのもあります。このとき、2色、3色には、特色が選ばれる。。かな。。
で、4色刷りは、普通の印刷物。
5色刷り、6色刷りというのは、2つのケースがあります。
4色+特色
5色に分解して印刷する
→4色に分解して印刷する普通の印刷より、肌色とかがきれいならしい。。
■特色での注意
DTPソフトによるのかとも思いますが、ライブラリに特色を含むものを登録し、それをよびだして、貼り付けてしまった場合、その特色がどうなるか。。というのは、アプリ依存の気がします。
ここで、はりこまれた側でも、特色指定が生きているとすると、貼りこんだ人が知らずして、その特色を含んだ文書を作ってしまう危険があります。
とくに、特色について、この色で表示せよと指定した、置き換えテーブルを使っている場合、印刷では、キンアカとプロセスカラーの赤のちがいがわかっても、置き換えテーブル上の色では、区別つかなくって、ディスプレイを見る限りわかんないということもありえます。
ということで、今回はここまで。
次回はカラーマネージメントっぽい話かな?