ダン・ブラウン『オリジン』上中下を一気読み!
いや~~、面白くてやめられませんでした。先が気になって気になって。ハラハラしどおしでした。
ひさびさに本を紹介します。
ネットサーフィンしていてちょっと刺激的なタイトルの本を発見し、読んでみました。
『いい子に育てると犯罪者になります』
著:岡本茂樹
新潮新書、2016年3月
心理学をまなばれた著者は、刑務所や少年院で、犯罪をおかした人々の更生プログラムを行っておられました。「おられました」と過去形なのは、2015年に著者がなくなっているからです。この本は、遺稿をもとに出版されました。
日本の刑務所や少年院のデータが紹介されます。再犯率が高いとのこと。刑務所や少年院の刑罰の内容がすこし紹介されています。表面的な反省や、作文でかく固い決意にはほとんど意味がないそうです。
大切なのは、受刑者が抑圧していた自分の気持ちをみとめるまでよりそうこと。面接等で受刑者の罪をおかした原点をさぐっていくと、たいていは幼少期の体験にたどりつくそうです。
いくつかのケースが紹介されます。原因の考察や、受刑者のこころがほぐされていく様子がこまかくレポートされています。覚せい剤でつかまった酒井法子さんに対する考察もあります。
そして最後の章では、「幼少期の子育てで知っておきたいこと」というタイトルで、子育ての要点が紹介されています。これは、子育て中の方にはぜひ読んでいただきたい部分です。
「いい子」には2種類あるそうです。
後者の「いい子」は、抑圧やストレスに耐えきれなくなったときに爆発し、事件や問題を起こすとのこと。ひょっとすると、いじめっ子はこのパターンかもしれません。
私個人の感想としては、この本は、娘が生まれてまもないころ読んだ児童精神科医 平井信義先生の著書にあった「いわゆるいい子の問題」を、詳しくひもといた内容だと思いました。そして、敬愛するもうひとりの児童精神科医 佐々木正美先生があまたの著書でおっしゃっていることを、すこしだけ別の角度から紹介していると思います。
ストレスを生み出す20の価値観がこの本で紹介されているので、いくつか抜粋します。
これらの価値観にしばられてしまうと、親も子も苦しくなると思います。
「チャイルド・マルトリートメント」という「大人の子どもに対する不適切な取り扱い」という意味の言葉を、私は連想しました。これについては、拙ブログ過去記事でいくつか取り上げていますので、よかったらご覧ください。
ネットで、どこかのリンクから飛んだ文科省の
委員会記録を読んだ際、著者:広田委員の 切れ味鋭い意見に
感服して、ネット検索、ヒットしたあまたの著書の中から
タイトルに惹かれて選んだ本です。
著:広田照幸
講談社現代新書1448、1999年04月
昨今、青少年の犯罪がマスコミでクローズアップされ、
「家庭に問題があった」 「家庭の教育力が低下した」と
よく取りざたされているようです。
そして「親学」の台頭に象徴されるような
「昔の家庭/しつけはよかった」と
主観的なイメージに基づく回顧主義が はびこっています。
…それって本当?
という素朴な疑問に対し、明快に答える一冊。
いやぁ~~、冷静明確な論点設定に脱帽。
豊富な文献に基づく歴史的事実がこれでもかこれでもかと登場。
巻末に載せられた参考文献・引用文献の数、実に159!
切り口は、あくまで「家庭としつけ」なのですが、
明治・大正時代から、1997年までの社会環境や時代背景を踏まえた
教育近代史を読者はざざっと押さえることができます。
…惜しむらくは、この本が15年前に書かれたものだということ。
この15年間に日本はまた変化を遂げていますから、
最近の動向に対する著者の見解を知りたいです。
この点については、でも、別の文献を当たればきっとわかることでしょう。
*** まえがき から 少し紹介 ***
「家庭の教育力」は低下した?という命題に対し、著者は下記のイメージをまえがきで設定し、それらについて本文で検討しています。
<イメージ1>
家庭の教育力は低下している。
<イメージ1-A>
昔は家庭のしつけがきびしかった。
<イメージ1-B>
最近はしつけに無関心な親が増加している。
<イメージ1-C>
家庭は外部の教育機関、特に学校にしつけを依存するようになってきている。
<イメージ2>
家庭の教育力の低下が、青少年の凶悪犯罪の増加を生み出している。
((A+B)の合成イメージ)
<イメージ2-A>
近年、青少年の凶悪犯罪が増えている。
<イメージ2-B>
それは、家庭の教育力の低下が大きな原因の一つになっている。
<イメージ3>
家庭の教育力を高めることが、現在求められている方向である。
*** 紹介以上(まとめと引用、猫紫紺) ***
さて、この本は特別に、オチを書いてしまいましょうか。
結論から行くと、世間にはびこっている上記イメージは、史実とは正反対です。
以下は、私の私見です。
わたしの目からは、むしろ、「しつけ/我が子の教育に失敗してはいけない」と、親たちは戦々恐々としているように見えます。「少なく生んで、大事に育てる」風潮がそれに拍車をかけているようにも思えます。
そして、教育熱心になるあまり、我が子に過干渉になり、我が子の育ちを損ねている人が多いのではないか――そう思えてなりません。
池波正太郎の時代小説、それもできれば「鬼平」が
読みたくて図書館に行きました。
ですが、鬼平犯科帳は、1・2巻が借りられていたので
かわりに借りてきたのがこれ。
選定基準は、読み跡が沢山付いていたから(笑)
『剣の天地』 (上下巻)
著:池波正太郎
新潮文庫、2002年1月
この物語については、何も知らずに
予備知識無く読みました。
上泉伊勢守秀綱(のちの上泉信綱)という、戦国時代幕開けの
武将の半生記。
伊勢守は、武芸の達人であり、鹿島神流の流れを汲む
“新陰流” を創始、これを柳生の郷へと伝えた兵法家だそうです。
読み始めは、三点リーダー(…)二つ使いの言い差し表現……
の多用に、「あれ?池波さんってこんな文体だっけ?」と
当惑しておりましたが、それに慣れてしまうと
あとはぐいぐい引き込まれました。
武田信玄、上杉謙信に挟まれた土地に居を構える
上泉伊勢守。
戦国の勢力争いの図を楽しむもよし。
下巻で、上泉伊勢守が兵法家として生きる過程を楽しむもよし。
いきいきと活写された戦闘シーンを脳裏にうかべて楽しむもよし。
わたしは、全編に流れる
「日本的なもの」
を堪能しました。
すなわち、武芸の境地とは、人の生き様とは、のあたりです。
脇役の、於富という女性の生き方がまたすさまじい。
それよりなにより、読後感がすばらしく爽快でした。
今日、お墓参りの帰りに図書館へ寄りました。
そのときムスメが借りてきたのが、
『おふろじゃ おふろじゃ―バスタブ王ビドグッド』
オードリー ウッド (著), ドン ウッド (イラスト),江國 香織 (翻訳)
BL出版、1993年
です。
お風呂上がりに、広げて2人で読みました。
ある国の、ビドグッド王が 朝から湯船に浸かり、
お風呂から出てこなくなります。
お小姓が、「お知恵拝借、お知恵拝借!」と
宮廷にいる大人の知恵をかりて、なんとかして
王様をお風呂から出そうとするのですが・・・。
という内容です。
まずは展開にびっくり。
絵が精緻なのに柔らかい印象で、とても上手です。
そして、絵を観察すると、そこここにお楽しみが隠されています!
文章は短めで小気味よく、リズムがあります。
そして、言葉が美しいです。
登場人物の表情が、どれも豊かで、楽しめます。
なによりイタズラっぽい表情が多くて
愉快な気分になれること疑いなし!
ただ残念なことに、この本、絶版しているらしく
中古にどこかで出会うのを待たなければいけないようです。
賞や推薦を、いっぱいとっている本なのですが…。