ここ数年「夜回り先生」で有名な、水谷先生の本です。
こどもたちだけでなく、おとなにも読んで欲しい本。
なぜなら、水谷先生のご活動の結晶のような気がするからです。
水谷修先生は、
どこかのインタビューを読んだ印象では、
とてもとても、精神力が強いひと。
この本を児童館ではじめてみたときは、
とっても易しい言葉で書いてあるのに、正直言って
「うわっ、キツイ。いまは読めないわ」と思いました。
(こころが弱っていた時期だったせいかな、たぶん。)
『
こどもたちへ 夜回り先生からのメッセージ』
水谷 修:著
サンクチュアリ・パブリッシング、2005年
時を置き、改めて図書館から借りてみたら
活字は大きいし言葉は平易だしで
すらすらと一気に読んでしまいました。
でもそれは、アタマで読んでしまったからかも知れません。
心でメッセージの意味を受け止めながら読んでみると・・。
自分の居場所を持てず、夜をさまよう子ども達へ向けた
真摯なメッセージは、未来を担う子ども達への
ココロの処方箋と、具体的な行動指針。
その内容は、どれひとつとっても的を射ているだけに、
当事者にとっては、まずは受け止めるだけでも、
大変だろうと思いました。
まてよ、逆に、慰められ、勇気づけられるひとのほうが
多いかな・・・。
実際のところ、どうなんでしょうか。
読者によっては、
「わかったけれども、できないよ」
と思うことも多いと思います。
けれど、頑張る方向が納得できて、いつの日か
その出来なかったことが、出来るようになったとき。
大きな力が、ついていると思います。
例えば、かけがえのない自分の、ひとつしかない人生を
自分も周りも大切にしながら、着実に歩んでいけるようなひとに
なれるのではないかと思います。
巻末に、「おとなたちへ」のコーナーもあります。
社会のイライラが、回り回って子ども達へ注がれている、
つまり子ども達はストレスのはけ口にされている、という示唆があります。
「はっ」としませんか?
最後の部分を、引用させていただきます。
「親たちは言葉を使いすぎます、ことばはいりません。ただ、子どもに寄り添うだけでいいんです。哀しいときには一緒に哀しい顔をして、うれしいときには一緒にうれしいかおをする。子どもに寄り添うというのは、そういうことです。決して難しいことじゃありません。
家の中をきれいにしてください。(中略)そして温かいご飯を食べさせて、一日五回以上、ほめてあげてください。それだけでぜんぜん違う。はじめから難しく考える必要はありません。子育ては小さなことの積み重ねです。みんなそういう単純なことを忘れて、ことばだけで子どもと接しようとする。だから間違えるんです。
親という権利を行使する前に、どうかまずはひとりの人間として子どもと向き合ってください、お願いします。」