ある本を読んで、手を叩くほどよろこんでしまった
文章に出会いました!
PTAの「自動加入」 とも「強制加入」とも言われるものに
そっくりな、悪徳商法のひとつ〝錯覚商法”の手口の説明です。
早速、引用します。
*** 引用ここから ***
一時、悪徳商法の一つに〝錯覚商法”というのがあった。人間の錯覚を利用して粗悪なものを売りつける、また不利な条件を十分な説明なく押しつけるものである。結果として、この東電に好都合な値上げのカラクリは悪徳商法に限りなく近い。知らない人、文章の罠に気づかない人だけが損をする。
区役所に東電を読んで二月の文書を「値上げ通告」と勘違いしてリアクションしなかった場合について聞いてみた。
「返事がない場合はどうするのか」
「いや、その場合はご了承いただけたものと受け止めさせていただきます」と言う。
「返事がないのは了承? そんな勝手な理屈は無い。契約なのだから、きちんと契約書通りにやるべき。世田谷区はこの通告には応じられない。契約通りにやる」と私は突っぱねた。
(中略)
私と同じころ、自民党の河野太郎さんもご自身のブログでこのことを取り上げていたし、一部で気づいていた人たちはいた。世田谷区は契約当事者として具体的に東電とやりあい、実際に契約を拒否することを明らかにしたので、インパクトが強かった。「返事がなければ値上げOKとみなす」という錯覚商法は撤回。意思確認を必ずするということになった。
*** 保坂展人『闘う区長』集英社新書 2012.11 p.126,P.128 より ***
(入力、編集責任:猫紫紺、入力ミスあったらごめんなさい)
…このエピソード、とっても参考になりそうですよね??
この東電の値上げ通告(?)にどう対応するかで、世田谷区の
電気代がその年度で2000万円違ってくる事態だったんだそうです。
しかも東電は、 こんな重大なことを、内々にお願いします、
と言ってきたそうです。(おいおい、ですよね)
そこで、保坂区長は、こんな重大なことを〝内々に” するつもりなどなく、
東電に通告したうえで、
世田谷区のホームページに載せ、
さらに ご自身のブログ
『保坂展人のどこどこ日記』
東電「大口料金値上げ」をめぐるダブルスタンダード
に経緯を載せられたそうです。
そうしたら、マスコミが反応し、最終的に
東電幹部が、当時の経産相枝野氏から強く叱責を受ける、
という成果に発展したそうです。
では、件の東電の、値上げ通告ともとれる ひっかけ文書(通知文)と
保坂区長のそれに対する解説を、
同書から引用します。
*** 引用ここから ***
電気料金の値上げにより、お客様に多大なご負担をおかけすることになり誠に申し訳ございません。本年4月1日以降の電気受給契約の変更内容に関しまして、下記の通りご案内させていただきます。つきましては、現在のご契約期間にかかわらず、4月1日以降は新しい電気料金により電気をお送りさせていただきたくお願い申し上げます。なお、お客様が新しい電気料金にご了承いただけない場合には、誠に恐れ入りますが、本書をご確認後、3月30日までに当社までご連絡いただきますようお願い申し上げます。
(二月四日付け 東京電力からの「電気受給契約の一部変更についてのお願い」より)
これを読んで、即座に理解できる人がいるだろうか。「不満はあるが、もうこんな通知も来たし、値上げの通告なんだろうな」というのが、一般的な受け止め方だろう。
世田谷区の場合もそうだった。単なる〝値上げ通告” としか受け止めていなかった。どうも東電の顧問弁護士が手を入れた文章らしく、よく読めば、顧客が拒否する場合には連絡をくれと書いてある。まことに狡賢い(ずるがしこい)のだが、一応は文句がつけられないような構成になっていた。
*** pp.124-125 より引用 ***
やんなっちゃいますよね。
わたしも、こういう悪意(欲)を丁寧語のオブラートに包んだ
文書や発言のカラクリを即座に見破れるようになりたいです。
そして、同書の終わり近くに、こんな文章もあります。
*** 引用ここから ***
つまり、大規模集中電源のいわゆる「原子力発電の時代」から、小規模分散型の「民主的な電力供給システム」に、社会のあり方を変えること。現在の電力供給システムは、強権的・独占的で、もっときつい言葉でいえば、統制型・脅迫型である。それに対し、いろいろと意欲を燃やしている企業もある。
*** p.159 より引用 ***
これ、「電力供給システム」を「PTAシステム」に、
「企業」を「個人や団体」に読み替えてみてください。
わたしは、PTAの現状と打開策にも通ずるものがあると感じています。
今回は、自分の言葉でかたらずに申し訳ありません。