発達心理学の基礎、特に「基本的信頼」の形成方法を、
中学家庭科の教科書に載せられないでしょうか。
子育てを、親や親戚から受け継がないで来て、何十年になります。
経済的・関係的貧困から来る寂しさから
若年カップルが増えてもいます。
そして、三歳までは母親の手で育てましょう
という「三歳児神話」が根強く残っているけれども
それは、偏見に過ぎないことが
立証されているそうです。
むしろ、今の世相では、
「三歳までは母の手で」にこだわると
返って子どもの健全な育ちに良くないかもしれない
という懸念が、
柏木惠子氏により指摘されています。
怖いのは、父親不在の母子密室育児の現状。
児童虐待の増加が
現状の歪みを物語っています。
企業は、父親を、家族そろって夕食を囲める
まともな時間に、家庭へと返して欲しいものです。
このことは、夫婦間のコミュニケーションを増やし、
一番の子育て支援策になるものと、確信しております。
育児や、家事という無償労働には、1年間365日休みはありません。
基本的に女性には、それが結婚してから一生続くわけです。
「ありがとう」の夫からの一言があれば、ずいぶん救われるものです。
(もちろん、夫にも「ありがとう」の一言を
返してあげましょう。
先手をうって、妻から言えればいいですね。)
それが、深夜帰宅の夫を待たずに、母子が就寝すると
夫婦すれちがいの生活になります。
お互いに気持ちがギスギスすることは、容易に予想できます。
子どもの健やかな育ちには、
まず、母親の気持ちのゆとりが必要です。
ゆとりがなければ、我が子を愛することはできません。
愛されていないひとは、人を愛すことができないそうです。
愛情不足の子どもは、長じて、幼稚園や学校で
問題を引き起こす可能性が高いですし
精神の安定性を欠きますから、授業内容が頭と心に
入っていかないでしょう。
このことは、経済で測れない、ある種の子どもの貧困問題に
つながることだと考えています。
そして、日本の将来を不安定にさせる要素だと思います。
お金では買えない豊かさを、置き去りにしている
日本だと思います。
発達心理学とはすなわち、
「人はどのように成長し、学び、生きていくか」
を体系的に整理したということに他なりません。
人生の根元的なテーマは、思春期の中学生にも
ぴったりだと思いますがいかがでしょうか。
子育てをする親一人一人が、発達心理学をわかっていれば、
我が子の発達段階(月齢や年齢、状態)に応じて、
何が一番必要なことか、自分自身で判断することができます。
また、大人になった自分自身にも応用し
人間としての成長モデルを
我が子に提供することができます。
子どもは賢いです。
一番大事な、あたりまえのことを、きちんと分かっています。
そこを損なわず、伸ばしてやるのが
親や教師や、子どもに関わる大人のつとめでは
ないでしょうか。
子どもの自発性・自主性を損なわないこと。
そうすれば、PISA国際学力テストの
難しい記述問題へだって、間違いを恐れず回答することに
挑戦する子どもが増えるに違い有りません。
発達心理学を、専門学部や教職の必須科目に
とどめておくのはもったいない話です。
(古い記憶なので、違ったら申し訳ありません)
発達心理学の中でも、乳幼児期に獲得する
「基本的信頼」は、子どもの育ちを見る上で
ものすごく重要なポイントです。
義務教育に、子育ての基礎を
理論と実践の合わせ技で導入して欲しい。
これが、言いたいことです。