天気予報に雪のマークが増えてきて
いよいよインフルエンザも流行りそうな気配。
きょうは美容室に行く。
パーマをかけるわけではない。
顔を深剃りされたり
不自然にバシッときめられたりするので
床屋には行かない。
妻が行くとき、一緒にかかることにしている。
そこは夫婦ふたりきりでやっている小さなサロン。
いつでも貸切のような贅沢な気分になれるのがいい。
椅子に着くと、テレビを消してバッハの曲など流してくれる。
ぼくの好みをちゃんと知ってくれている。
ただ一つ苦手なのは
洗髪のとき、床屋とは逆の仰向けになることである。
顔にガーゼなどかぶせられて息苦しく
この姿はなんとも男らしくない。
で、立ったまま流しに頭を突っ込み
洗ってもらうことにしている。
き真面目な亭主は、大層やりにくそうにしていたが
臨機応変を言う、うるさい客の要望に今はあきらめている。
バッハのフーガと軽やかなハサミの音を聞きながら
頭のてっ辺をやさしく撫でられていると
時間がフラッシュバックして
はるか昔、
静かの海から押し出されたときの仮死状態に戻っていく。
木枯らし一号美容室を出たところ やす