リフォーム中で調理場がない

先月中旬に播いた小松菜やほうれん草が食べ頃になった。
ブロッコリーも大きく育った。無農薬なので、どれもが虫食いだらけだ。
人間と虫と、どちらが早く食べ尽くすのか。
庭の柿も色づいた。こちらは鳥との勝負。

ミニトマトを抜いて、絹さやとスナップエンドウを播いた。
毎年のように冬越しに失敗する。
だから、直播き以外にポットにも播いておいた。

我が家のリフォームも大分進んでいる。
トイレと風呂は使えるようになった。今は台所の作業中だ。
調理場がないので、もう１週間以上茶の間で料理している。
「避難所生活のようだね。」とタヌキが言った。

リフォーム中の心得

水回りは、家の心臓部だ。一気に壊すと生活が出来なくなる。
１０日前(９／３０)、とりあえず風呂とトイレを壊した。
風呂は３日前から入れるようになったが、それまでは日帰り温泉。
今日からは、トイレも仮設トイレから解放されて新装トイレになった。
昨夜、台風のさ中、夜中に外のトイレに通ったのも思い出となった。

明日からは、台所を壊す。
今夜は、台所用品を居間などに移動した。
居間は戸を交換するだけで大がかりな改装はしないのだ。
コンロなどは使えなくなるので、卓上ガスコンロを用意しておく。

ついに居間は家中のがらくたであふれている。
それでもタヌキは、この際だからと相当量のものを処分したという。
和室の居間にソファーがあり、まな板や包丁まで持ち込まれると景色が変わる。
こうなると、落ち着かない。
リフォームによる親父のストレスは溜まるばかりだ。

そこで、リフォーム中の心得。
最低でも、一部屋だけは従来の姿のままにしておくことだ。
幸い我が家は２階に３部屋ある。
このうちの一つには道具や物を運び込まずに、そのままにしておく。
ここが息抜きの部屋となるのだ。

猫のプチ家出

抱いて階段を上ろうとしたタヌキに飼い猫のシロが爪を立てた。
服の上からだったので傷は付かなかったものの、タヌキは猫を投げ飛ばした。
猫はそのまま階段を駆け上がり、いつもの部屋ではなく隣の部屋に入った。
そして、追いついたタヌキにフーッと威嚇した。
タヌキはむっとして猫をつかみ、いつもの部屋の中に投げ入れたのだった。

この夜、タヌキの横で寝ている猫が、そこへは寄りつかない。
親父の所に来たりテレビの下に来たりと、その辺をうろうろしている。
そのうち、本箱の下、隠れるように居場所を見つけ、じっとしている。
タヌキが「シロ」と呼んでも無視している。
シロは猫なのに、怒られると拗ねたり逆ギレしたりするのだ。
夜中、いつものようにシロが外に出たいとせがむので、親父が２階から外に出す。

朝になり、タヌキに餌をねだって玄関に来るシロが、今朝は来なかったと言う。
猫のプチ家出だ。
「謝りに来ないなら、私も餌はやらない。戻らなくてもいい。」
タヌキの方も、猫と張り合うつもりらしい。(だから、女は怖い。)
後から住み着いたトラは巻き添い、餌はなし。
とうとうその日は帰ってこなかった。
かわいそうなトラには、午後になって親父が餌をやった。
夜、親父は少し近所を回ってみたが、見つからない。
交通事故だけが心配だ。

結局、二日目の午後、太股に怪我をして帰ってきた。原因は不明。
どこかで荒れていたに違いない。(親父なら外でやけ酒だ。)
居間の網戸を爪でひっかき、タヌキに入れてくれとお願いをしたのだと言う。
親父はその現場を見なかったが、どんな顔をして帰ってきたのだろうか。
ともあれ、タヌキが「謝ってきたから許す。」と言ったから、めでたし。

我が家のリフォームが始まった

ついに我が家のリフォームが始まった。親父は面倒なので余り乗り気ではなかったのだ。
タヌキが、洋間と台所の間の壁をぶち抜いてリビング・ダイニングキッチンにすると言う。
ついでに、そのスペースも広げ、さらに、浴室とトイレも改装したいと言う。

９月１４日から基礎工事は始まっていたのだったが、ついに月曜日から本格化したのだ。
まず、浴室とトイレの取り壊しから始まった。
ドリルの音が朝から晩まで響き渡る。
そんな中でも、タヌキは嬉々として洋間の片付けをしている。

「見て、見て。」と言うから何事かと思うと、すごい写真が見つかったと言う。
それは、タヌキの若いときの写真で幼い二男を抱いているものだと言う。
「私、こんなにかわいかったのよ。」
そう言うから、写真も見ずに言ってやった。
「大きく伸ばして飾っておいたら」と。

親父の一つ下、あと３か月ほどで還暦になるタヌキは、きっと長生きするに違いない。