はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

『自閉症と感覚過敏』

2017年05月23日 | 
2017/05/23


この本が出版されていると知って、とても読みたいと思った、そして読んで参考になった本です
自閉症者は世の中をどんなふうに感じているのか、その世界を理解したかったのです


熊谷高幸著『自閉症と感覚過敏』  新曜社 2017年1月発行


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本の紹介文より

当事者の語りから学び、かつ語ることのできない多くの自閉症者の症状を集めて分析した著者は、
感覚過敏はたんなる症状のひとつではなく、
それこそが自閉症の発生源ではないのか
、という仮説に至ります。
男性脳や現代の生育環境といった要因との関係にもふれながら、
その思考と検証の過程を紹介、当事者の感じ方に配慮した支援のあり方を探ります。



少し長くなりますが、目次を引用します
どんなことが書かれているか、わかると思います


第1部 感覚過敏がつくる世界

1章 長いあいだ見逃されてきた特性

 うるさい場所が嫌い
 敏感と鈍感の同居
 いちどきに大量の刺激を取り入れてしまう
 感覚過敏が生み出す世界
 自閉症スペクトラムのADHDとLDへのつながり

2章 自閉症者はどのような感覚過敏をもっているのか?

 視覚の過敏と変化への恐れ
 触覚・味覚・嗅覚の世界
 複数の感覚の統合がむずかしい
 こだわり行動について
 同調行動とミラーニューロン
 感覚と運動のあいだで起きる問題

3章 なぜ、人とのかかわりがむずかしくなるのか
 
 環境をかき乱す大人たち
 言語の獲得に必要な大人の存在
 共同行為と「心の理論」
 人の顔のわかりにくさ
 なぜ見分けにくいのか?

4章 つながりにくい記憶と時間

 部分と全体が結びつかない
 感覚過敏と時間と空間
 「順不同の静止画像の集積」
 名詞とくらべて動詞が学びにくい子どもたち
 記憶を作る点と線
 トラウマとフラッシュバック
 通常と異なる記憶システム
 出来事でなくカレンダーで時間を意識する
 ワーキングメモリーが働きにくい
 過去イメージと未来イメージ
 感覚過敏と創造性

5章 心と体のかみ合いにくさ

 バラバラな身体各部
 なぜ身体各部は統合しにくいのか?
 「自閉症の僕が跳びはねる理由」
 外部刺激から解放されたい
 行動コントロールのむずかしさ
 「あいまい処理」がむずかしくなる

第2部 自閉症の発生過程

6章 自閉症の大もとになる特性としての感覚過敏
 感覚過敏は「もうひとつの症状」にすぎないのか?
 自閉症の症状はどのように捉えられてきたか?
 言語・認知障害が先か、感覚過敏が先か?
 「障害の三つ組」説
 DSM‐5になって付け加えられた感覚過敏
 感覚過敏からこだわりを経てコミュニケーション障害へ
 症状と障害発生過程の見直しの必要

7章 もうひとつの要因としての男性脳

 自閉症はなぜ男性に多いのか?
 共感指数とシステム化指数
 感覚を共有する女性、ひとりとまどう男性
 自閉症生成の過程
 男性型の脳と女性型の脳の作用
 脳の特性から見た自閉症の位置
 自閉症の中の個人差と男女差
 男性脳のもうひとつの影響

8章 感覚過敏と初期発達

 三項関係が崩れやすい
 自閉症の言語消失現象
 一歳半を過ぎて強まる自閉症状
 歩けるようになってことばを失った子たち
 3タイプでの自閉症の現れ

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


第3部では具体的な支援の方法について書かれています

当事者がどんなふうに感じているのか、どんなふうに世界を見ているのかを
「通常者」が知ることによって、不可解に思われる行動も
本人にとって意味のあるものだということが理解できるし
支援の方法も見つかるというものです

「通常者」という言い方は、どちらが多数派かということであって
自閉者が大多数の世界だったら、感覚過敏がノーマルの感じ方であり
当たり前ということになるでしょう

特別な過敏さは、ある特定の分野においては注意深さになって、通常者が気づかないことに気づき
くり返しを厭わない性質は、忍耐強さ、集中力にもなる
ある性質が長所にもなり、利点にもなるということを忘れてはいけません

コメント
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