はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

「女ことば」ってどんなもの?『女ことばってなんなのかしら』②

2024年09月08日 | 
2024/09/08


平野卿子著『女ことばってなんなのかしら?』
の続きです。

 
女言葉の特徴といえば
・特有の終助詞(のよ わ かしら わよ、など)を使う
・訛った母音(うるせえ 知らねえ、など)を使わない
・卑語や罵倒語(尻 畜生、など)を使わない
・接頭辞「お」をつける(お醤油 お花)
・感動詞はまあ あら、など
・敬語をよく使う


女ことばでは命令ができません。
命令形はなく、お願いになるのです。

「やめろ!」は命令で
「やめて!」はお願いですって。
 
「手伝ってくれる?」
これは、お願い、ですね。

女ことばでは悪態はつけないし
威嚇もできないので
女ことばではストレス解消はできないそう。
(そういえば、女も怒ると男言葉になるか‥😠

女ことばは話し手の育ちや暮らし向きを表し
階層を表す働きもあります。

「そんなこと、あたくし存じませんわ」
「どうしたのさ。まだお腹悪いのかい」

確かにわかりますね。


男の一人称はたくさんあるが、女はひとつ。 
「わたし(あたし)」。
しかもこの言葉は女専用ではない。

女は自己主張の機会が少なかったからと
著者は推測しています。

世の中の男性は3つの一人称を使い分けています。

公的な場所=私 
少しくだけて適度な距離の相手には=僕 
恋人や友人と話すときには=俺

女でも自分を「うち」という人がいますし
(公では使われないかも)
「僕っ娘」といわれる
自分を僕呼びする女の子もいます。


1898年(明治31年)民法で「家制度」が制定され
一家の財産は戸主である男性一人のものになりました。

それまで夫婦別姓だったのが
「夫婦は一心同体である」の考えにもとづいて
同姓になったのです。

前回も書きましたが
女ことばも女性差別も日本の伝統ではないのです。

前回の記事 ↓



〈日本語には「I」や「You」のような
人称代名詞はないと思うようになった。〉(p.48)
というのが興味深いのです。

〈日本語の「わたし」や「あなた」「彼女・彼」は、
人称代名詞ではなく名詞です〉
とのこと。

〈「I」や「You」には形容詞がつかないが、
日本語なら「のんきなわたし」や
「すてきなあなた」「元気な彼女」と言える。
名詞に形容詞はつくから〉
というのを読んで、確かに、と思いました。


「日本語には主語がない」論の
三上章著『象は鼻が長い』が紹介されていましたが
これがまたおもしろい。

「象は鼻が長い」という文。
〈「象」は主題であって主語ではない。
「は」は「象についていえば」という意味であり、
「鼻」は「長い」の補語になります。〉

「象」が主語だと思ってしまいますが…

英語のspeaking of(についていえば) 
のようなものだそう。

なるほど。

 
三上章氏はこの本で初めて知りました。
1960年出版の本です。

言語学者ではなくもともと数学者だったそう。
不遇だったとか。

本の中にいろいろ出てくる
著者や著作のことを調べていくと
どんどん枝葉が広がって
興味が別のところに行ってしまって
収拾がつかなくなるのですが
それもまた本の世界の醍醐味ですね。



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