2021/07/25
オリンピックで、頑張っている人たちを見て感動していますが、また一方、世の中には頑張れない人たちがいることも事実です。
宮口幸治著『どうしても頑張れない人たち』を読み終えました。
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どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―（新潮新書）
宮口幸治
新潮社
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この本は『ケーキの切れない非行少年たち』の続編です。
先に出版されたのは、こちらです。
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ケーキの切れない非行少年たち（新潮新書）
宮口幸治
新潮社
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この『ケーキの切れない非行少年たち』を先に読むべきですが、図書館で予約しようとしたら、70件以上も予約が入っていて、手元に届くのはだいぶ先のことになりそうなので、続編を先に読み始めたのでした。
まず、最初の本を紹介しておいた方がわかりやすいと思いますので、内容の紹介文を載せておきます。
〈児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。〉
「境界知能」とは、IQ70~85程度とされ、明らかな知的障害ではないが、支援が必要とされるグレーゾーンにいます。
この本のインパクトある題名は記憶していました。
そして続編の『どうしても頑張れない人たち ～』。
「怠けているように見える人」の驚くべき真実。
この本は非行少年たちとその保護者（支援者）を適切に支援するための知識と方法がメインになっています。
でも、私はこの本で一番読み取るべきことは、「どうしても頑張れない人たちがいる」ということではないかと思ったのです。
「頑張っている人を応援します」というキャッチコピーがありますね。CMでしょうか、どこかで目にしたことのあるコピーです。
著者は、「頑張ったら支援する」は、頑張らなければ支援しないよ、という意味にも取れると言います。
頑張る人は、「頑張って」と言わなくても頑張れる。そういう人たちは、見ていても自然と応援したくなります。
でも、頑張ろうとしても、頑張れない人たちがいます。
ほんとうに支援が必要なのは、頑張れない人たち、すぐに怠けてしまう人たち、頑張っていないように見える人たちなのです。（P.25）
そういう人たちは、頑張れないために、なかなか物事を達成することができません。そのため自信が持てず、ネガティブな思考、被害的な思考に陥っていることがあります。(p.26)
こういう人は頑張り方がわからないのです。
問題行動を起こす子どもたちは、発達に課題があっても病院に来ない。問題を起こして警察に逮捕され、少年鑑別所に入って初めて、その子には発達の課題があった、もっと早くから特別な支援が必要だったと気づかれるのです。(p.26)
支援が必要な少年たちを支援する人（保護者）の心の安定もおろそかにできないのです。支援者も心が折れていて、頑張れない人である場合があり、支援者サポートも大切になってきます。
著者は「無理をさせない」と「頑張らせない」とは違う、といいます。
「どこの世界でも頑張らない人は評価されない。頑張らせないでいると、ダメになってしまう」
何らかの形で頑張らないと、この社会では生活していけないのは事実です。毎日、決まった時間に起きて、満員電車に乗るのも頑張っていることですよね。
「できないからそのままでいい」、「頑張らなくていい」と親に言われると、大きくなるにつれて、境界知能の子どもはどんどんわからないことが増えて、つらくなっていく。可能性のある子には、勉強やトレーニングをやらせるべきです。 (p.41)
しかし、頑張らない、頑張れない人たちなのですから、支援の仕方も難しい。
言葉かけには注意して、支援者は伴走者として見守りながら、困ったことがあったらいつでも手伝う姿勢でいること。余計な言葉がけは控えて、見ているよ、という態度を表明する。
このあたりの考え方は参考になりましたね。
やる気を出すためには、自己評価を上げるのがよいのです。自己評価を上げるには他者の評価が必要です。やる気は達成感と、他者からの承認で生まれてくるものです。
詳しいことは本著でお読みください。
私たちのまわりにもいる頑張れない人、頑張ろうとしない人（自分も含めて）に、その理由、対処方法も当てはめて考えてみることができそうだと感じました。
