2023/08/09
2021年10月13日に旅立った
作家・山本文緒さんのエッセイや
mixi、twitterでのつぶやきを
集めた本です。
ご本人の死後の出版ですから
出版を意図して書いたものばかりでは
出版を意図して書いたものばかりでは
ありません。
これは編集者だったご主人の仕事だったのかな。
2008年から2021年までのつぶやきですから
ずいぶん前のものもあります。
私が山本文緒さんを知ったのは
NHKのあさイチ、プレミアムトークの出演でした。
それまで、名前も存じ上げなかったし
本を読んだこともありませんでした。
落ち着いた穏やかな雰囲気を持つ人だなあと
好感を持ちました。
この本には
「あさイチ」出演時のことが書かれていて
私は見ていたこともあって
そこが一番おもしろく読みました。
一部を抜き書きして
引用させていただきます。
「本番までの約一か月半、不安と自信のなさでキリキリ胃の痛む毎日でした。でも、終わってみれば、私の人生はここがピークだったのではないかというぐらいの幸福な出来事だったと思います。」
「入りは6:30。そこからヘアメイクをして頂いて直前打ち合わせをし、
8:00にスタジオに入ってそこで初めて華丸・大吉さんと近江さんにご挨拶です。」
あの頃は近江アナだったんですよね。
「台本はあるにはあるのですが、そんなに詳細なものではなくざっくりとした構成表で、何もかもその場でフレキシブルに進行するという感じです。」
「本番が始まって緊張がピークだったのですが、隣りに華丸・大吉さんがいらして私のほうを見て話しかけてくれるのがもう嬉しくて嬉しくて、途中からめちゃくちゃ多幸感が湧き上がってきました。」
「その夜一人になって録画してあったものを観ました。そして、ああこれは私がヨボヨボのおばあちゃんになったとき、死ぬ間際まで誰彼かまわず自慢しまくるであろう最高な出来事だったなと実感が湧きました」(p.201∼205)
華丸・大吉さんと話せるのがそんなに
うれしかったとは!
‥‥それから約10か月後に
この世を去ってしまわれたんですね。
この時はまだ
「ヨボヨボのおばあちゃんになるまで」
と思っていらしたんですね。
この言葉が悲しく響きます。
でも、この時が人生のピークだったと
言わしめるほどに多幸感があったのなら
ほんとうに出演したのはいい事でしたね。
このつぶやきを読むと
軽いユーモアも交えた自虐など
飾らない日常が伺えます。
うつ病で苦しんだことも書かれおり
作家として作品を作り上げるのは
実を削る大変な作業だなとあらためて感じます。
この本は昨年12月に
『無人島のふたり』を読んでから
すぐに図書館に予約したのですが
人気の本で、半年以上待ち手元に来ました。
昨年書いたブログはこちら。
こちらもよければお読みください。