顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

水戸城二の丸展示館と嘉永版大日本史

2020年03月14日 | 水戸の観光

水戸城の二の丸整備事業の一環として、彰考館跡の水戸二中にある二の丸展示館の内容が一新されました。小さな展示館ですが、水戸城の歴史や彰考館のことをわかりやすく説明してあるので、短時間で概要を理解できる施設となりました。

ここに寛永版の大日本史が新たに展示されています。
聞くところによると、水戸二中の先生が売りに出されているのを偶然に見つけて手に入れたとか…、これは大日本史の編纂所「彰考館」あとにある水戸二中の貴重な宝となり、ここで勉強する生徒たちにとっては誇りを与えてくれる、まさに適材適所の所蔵品となりました。

明暦3年(1657)に水戸藩2代藩主光圀公が編纂を始めた大日本史は、途中何度も改訂を繰り返し、明治39年(1906)まで250年をかけ本記、列伝、志、表の397巻226冊と目録5巻の402巻が完成します。

嘉永版の大日本史は、9代藩主斉昭公が、嘉永2年(1849)、光圀公150年忌に供するため本記・列伝243巻を100冊、4536枚に再校訂したもので、斉昭公の跋文を付けて朝廷をはじめ各方面に寄贈しました。(表紙に1百終の文字が見えます)

後になって江戸の書店、玉巖堂和泉屋金右衛門が販売を任され、藩士や一般の手に入る書物となりました。当時の値段は「六両壱分ト銀弐匁七分」と伝えられています。(現在の価格で100万円くらいでしょうか?)

なお、二の丸展示館は「大日本史編纂の地」の碑が入り口に建つ水戸第二中学校校門脇にあります。入場無料。9:00~16:30 
現在、新型コロナウイルスのため休館中です。学校施設課☏029-306-8679)

この二の丸入り口には大手門の復元が2月初めに完成し、隅櫓、土塀などの復元工事も年内の完成を目指していますので、日本名城百選にも選ばれている水戸城の景観がより視覚的に充実されてきました。



水戸の大地の成り立ち展…会期中途終了

2020年03月10日 | 日記

水戸市立博物館で2月9日から始まり3月15日まで開催の、宇宙誕生から140億年間の水戸の歴史という壮大なテーマの展示が、新型コロナウイルスの影響のため3月1日で会期が終了となってしまいました。

宇宙科学、地質学、古生物学、考古学などの幅広い資料を一堂に集め、水戸の大地の成り立ちをたどる展示で、来館者も多く好評の企画でした。

榎本武揚(1836~1908)が明治31年富山県で発見された鉄隕石を購入し、刀工・岡吉國宗に製作を依頼した「流星刀」、世界各地でも大地を身近に感じる隕石を材料とした刀剣類が残っているそうです。大地に対する人類の憧憬を表すものといえるでしょう。

41億~38億年前、地球に小天体が衝突しマグマの海だった状態から、陸と海が形成された頃の地殻の痕跡、アカスタ片麻岩は世界最古の石です。

水戸の基盤岩は鶏足山塊(中生代)⇒水戸層(新第三紀)⇒見和層(第4紀)⇒上市礫層(第4紀)⇒関東ローム層の順に堆積しています。
こうしてできた水戸の地層は、約2万年前に海岸線が今より約120mも低くなり強い浸食作用によって現在の那珂川流域を中心に深い谷となりますが、その後海水面が上昇して土砂がたまり、那珂川下流域を中心に広大な沖積低地が形成されました。

偕楽園周辺から産出したマッコウクジラの化石は、中新世(約2,300万年前~約500万年前)には水戸が海の底だったことを示しています。

偕楽園周辺の水戸層の石切り場から産出したとされる同じ時代のアロデスムスの化石は直良信夫のコレクションで、彼は最初は新種発見としてミトアザラシと名付けたという話が残っています。

急ぎ足での鑑賞でしたので会期中もう一度訪れるつもりでしたが、残念ながら突然の終了になってしまいました。

河津桜満開!…涸沼自然公園

2020年03月07日 | 季節の花

この時期に訪れたことがなかった涸沼自然公園、人混み避けての日常生活のおかげで、初めて満開の河津桜を見ることができました。

オオシマザクラ とカンヒザクラ の自然交雑種とされるこの桜は、静岡県河津町で発見され、今では早咲きの桜としてその名が知られています。

自然林の中に植えられたクリスマスローズ、だんだんと数は減っていますが、庭のものより色が濃いような気がします。

涸沼を見下ろしユキヤナギ(雪柳)も咲き始めました。

顔を出したタンポポ(蒲公英)は、間違いなくニホンタンポポであると咢を見せて主張しているようです。 

春の陽をいっぱいに浴びて、イヌフグリ(犬陰嚢)が名に似合わない可憐な花を咲かせていました。

犬ふぐり星のまたたく如くなり  高浜虚子
こんこんと日は恙なし犬ふぐり  森澄雄

ほとんど散ってしまった梅林の中に「底紅 紅い筋入り」の花を見つけました。

この公園は、涸沼のほとりの4.5haの広大な自然を丸ごと公園にしたもので、あまり手を加えていないのが魅力…東側には涸沼が大きく拡がります。

藪椿はその名の通り、目立たずに咲いているので見過ごしてしまいます。
       
藪椿落して風の句読点  湯川雅 
盗み見をしてゐるやうな藪椿  高澤良一

普段は人気のない山の上の遊具広場ですが、休校で行き場のない子供たちの歓声が聞こえます。ウイルス騒動がはからずも自然の中で遊ぶ機会を与えてくれました。

蕗味噌…今年もまた!

2020年03月06日 | 食べログ

新コロナウイルスのおかげで3月の予定がすべてなくなり、不要不急の外出は控えろということで近くを散歩して、蕗の薹を採ってきました。

暖冬で大きくなっているのもありますが、全体に小振りなので20数個で約80gです。今年は時間がいっぱいあるので、レシピ通りに、味噌は80g、油が大さじ1.5杯、みりんが大さじ1杯、日本酒大さじ1杯、砂糖小さじ1杯を練ったものを、洗って水気を切った蕗の薹を細かく刻んで熱したフライパンで約1分半炒めたものに混ぜ約3分ほど、水分が飛んだら出来上がりです。

使った赤味噌が黒かったので、少々色が濃くなってしまいました。ほろ苦さと蕗の香りは舌先に残りますが、反省の多い出来上がり…、それでもいつもの晩酌の酒が大吟醸の味?になりました。

梅の色いろいろ…水戸の梅まつり

2020年03月04日 | 水戸の観光

満開になった偕楽園と弘道館公園、新型コロナウイルスの影響でいろんなイベントは中止になってしまいましたが、梅たちは冬を耐えてきた、春の喜びを精いっぱい開かせています。
この梅に先人たちが付けた、咲き色を表すことばには優雅なものがたくさんありますので、あてはまる花を探してみました。(写真は薄紅色の「八重旭」です)

●裏紅
八重咲きで花弁が三重くらいあり、外側の花弁のより濃い紅が、うっすらと透けて見える…「内裏」「八重西王母」「無類絞り」「都錦」「連久」など、写真は「内裏」です。

●爪紅
花の周り、先のほうに紅色が入り、中央部は薄紅色になる…「古金蘭」「紅筆」など、写真は「古金蘭」です。

●底紅
花弁の底のほうが紅くなる…「鈴鹿の関」や赤い筋が入る「関守」「東雲」などがあります。写真は「鈴鹿の関」です。

●本紅
深い紅色で、「鹿児島紅」「佐橋紅」「緋の司」「紅千鳥」「大盃」など、写真は「佐橋紅」、雄蕊の花糸までも真っ赤です。

●紅色
いわゆる紅色として分類されるものは、「道知辺」「筑紫紅」「春日紅」「江南所無」「未開紅」など、写真は「筑紫紅」です。

●薄紅(淡紅)
白に近い薄い紅色で「入日の海」「梓弓」「一流」「八重旭」「紅加賀」など、写真は「入日の海」です。

●青白
青白い花には咢や枝が緑色のものもあり、また月が付く名前も多く、「月影」「月の桂」「緑咢」「茶青梅」など…写真は「月の桂」です。

●移り白
蕾のうちは薄紅で、開花するとだんだん白色になる、「滄溟の月」「朝鮮梅」「蓬莱」など…写真は「蓬莱」です。

●紅白咲き分け
紅と白、絞りなどが一本の木に現れます。「輪違い(思いのまま)」「春日野」「日月」「巻立山」など…写真は「春日野」です。

●覆輪
花弁の輪郭が白くなる…「八重唐梅」「品字梅」「里見紅」など、写真は「品字梅」です。

花の色には濃淡などの個体差もありますし、もっといろんな咲き方もあると思いますが、その一部をご紹介させていただきました。(写真は裏紅の「八重西王母」です)
一生懸命咲いている一輪一輪の色のかすかな違いを、ぜひ味わっていただきたいと思います。

散るたびに老ゆく梅の木末かな  与謝蕪村
白梅の黄色に咲くや年の内  正岡子規
紅梅の五六本みな色ちがふ  細見綾子