年々狭くなる行動範囲の中を彷徨しながら撮った秋の実、調子に乗っての第二弾です。
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ゴンズイ(権翠)が林の中で輝いています。この辺の海でも釣れる魚の「ゴンズイ」が役に立たない物の代表としてその同じ名が付けられましたが、とんでもない、秋の野を鮮やかに彩っています。
ペットや番犬、猟犬など人間にとって一番役に立っているのに、役に立たないという意味で植物の名前の頭に付けられたのが「イヌ」です。
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このイヌツゲ(犬柘植)は、印鑑、櫛などに使われるツゲ科のツゲ(柘植)に対してモチノキ科で役に立たないと付けられたのでしょうか。庭木や植え込みとして充分役に立っていますが。
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同じくイヌザンショウ(犬山椒)は、姿かたちはそっくりでもサンショウ(山椒)に比べると香りが弱く役に立ちません。見分け方は、棘の出方がイヌザンショウは対生、サンショウは互生というのが一般的です。
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モッコク(木斛)は「江戸五木」ともいわれ古くから人気の庭木です。雌雄異株で、花が咲いても実をつけない雄株と、花も咲き実もつける両性株があります。
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花と実が一緒に見られるシロダモ(白梻)も雌雄異株です。実は成熟に一年かかるのでこの時期雌株では花と実が同時に見られます。近くに花だけの雄株もありました。クスノキ科の三行脈の葉の裏側が白いのが名の由来で、野球バットに使われるアオダモはモクセイ科の別種です。
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ツバキ(椿)の実も開いた殻からほとんど落ちかかっています。今から約1200年前の平安時代の初期、遣唐使が唐への献上品として椿油を持参したそうです。
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殆ど落ちてしまったムカゴ(零余子)、数粒残ったふっくらとした実です。自然薯の葉の付け根に出る球状の芽で美味しく食べられます。山遊びでは茹でて塩ふって山上のビールのつまみになりました。
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厄介な雑草として嫌われているアカネ(茜)は、昔から茜色の染料として使われていました。
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こちらは巨峰のように美味しそうなアオツヅラフジ(青葛藤)、残念ながらアルカロイドを含む有毒植物です。ツタが緑色でツヅラ(葛籠)などを作るために用いられました。
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哀れな名前の代表ともいうべきヘクソカズラ(屁糞葛)、その臭いからこんな名になりましたが、臭いの成分メルカプトンは、無臭のガス漏れ検知のための臭い付けに使われているそうです。
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梅林の植え込みの中のヤブミョウガ(藪茗荷)の実が、薄緑色から褐色、濃い藍色、白っぽい藍色と、変化する実の色で存在感を放っています。
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こんな悪役でも紹介していいのでしょうか、「引っ付き虫」最強の北米原産のコセンダングサ(小栴檀草)です。放射線状に出た細長い痩果の先端には棘がありしっかりと衣類に取り付きます。
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フユイチゴ(冬苺)は水捌けの悪い我が家の樹下の環境が気にったのか毎年実を生らせてくれます。酸味が強くてもまさしく苺の味です。小鳥に見つからないように枯葉で覆いますが、周りの餌が無くなる頃には必ず見つかってしまいます。
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スギ(杉)の葉の根本にしっかり実が付いていますが、尖端にはもう来春に花粉を飛ばす雄花の蕾が出来上がっています。
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こちらはスギより1か月遅れて花粉を飛ばすヒノキ(檜)と似ているサワラ(椹)の実です。区別が分かるでしょうか。
日本気象協会の関東甲信越地方の2024年花粉予想では、例年に比べて「多い150%」、前年に比べて「やや少ない80%」という数字が出ています。