本紹介山族公務員の流儀・牧慎太郎著
小生は公務員ではないが、約20年前にIT地域情報化の講演の仕事で牧さんと初めて出会った。その時に「おー君が山岳ニュースの創設者か今晩一緒に呑み会に行こう」と強引に誘われた場所が、山人生をさらに変えた山HYMLルック岳(つぼ岳)である。北海道の山々を愛する集まりの会である。牧さんはかなりユニークな人だ 東京でも吞んだことがあるが、酔っぱらったら何を言っているかわからないことも多々 青森県八戸市で生まれ、兵庫県内で育ち、東京開成高校から東京大法に入学。元総務省のキャリア官僚である。当時はそんな経歴も知らず、ただの山バカだと思っていた。日本各地に転勤し地方創生に邁進しながら、日本三百名山も完登。仕事も趣味も全力で駆け抜けた牧さんが語る。霞が関にしがみつかなければ官僚は本来やりがいのある仕事だと。霞が関の忖度官僚とは対極の公務員人生を歩んだ山好き転勤族の牧さん。各地方の現場で様々な経験を積んだことが活かされている本だ北海道関連の概要全国初の知事認定アウトドア資格制度=山岳、自然、カヌー、ラフティング、トレイルライディングの5分野で北海道独自の知事認定のアウトドア資格制度を創設したエピソード。 大雪山に太陽光発電のバイオトイレ=北海道山岳議員連盟の後押しで、全国でもいち早く太陽光発電を活用したバイオトイレを大雪山に整備したエピソード。予算見直しのコツ=道財政悪化の元凶と言われた他県に例を見ない110億円超の地域政策補助金。市町村に人気だった補助金を知恵と工夫で6割削減した手法とは。メーリングリストの仲間と登山道を整備=札幌岳〜空沼岳の縦走路7kmのササ刈りをインターネットの山仲間と実現したエピソード。すべての避難所にパソコンを整備せよ=有珠山噴火でJR山手線内の1.5倍以上の範囲から住民が避難。すべての避難所にパソコンを配備してインターネットで必要な災害関連情報を提供した世界でも初めての事例。
この本のカバー写真は、利根川源流にある水源の碑がある山らしい。そこから大河の一滴が 流れ始め、命をつなぐ水となる。自然豊かな山があるからこそ、私たちの生活が成り立っていることを改めて認識させてくれると牧さんは言っている。
はじめにからの抜粋
山に登ると見える景色が大きく変わる。視点を変えてみると物事の見方も変わってくる。
昨年7月に総務省を退職するまで34年余りで県境を越える15回の転勤を繰り返し、奈良県、北九州市、島根県、北海道、兵庫県、熊本市などに勤務したが、いわゆる中央官僚とは一風変わった公務員人生を歩んできた。幸運だったのが、私の山登りという趣味が転勤族にぴったりだったことだ。40歳で日本百名山、さらに赴任地の北海道、島根県、兵庫県、九州それぞれの百名山を踏破し、51歳で日本三百名山も完登することができた。
地元の皆さんと山頂を目指して一緒に登り、苦労の末にたどり着いた山頂で眼前に広がる大展望を満喫し、ともに達成感を味わう。友情は、平等意識と共通体験から生まれるというが、何年経っても昔一緒に山に登った仲間たちとのつながりは続いている。
この本のタイトル「山族公務員の流儀」の「山族」には、山登りが好きな転勤族という意味を込めた。私の経歴を見ていただくと、総務省では行政局、財政局、税務局の旧自治3局すべてと消防庁、旧郵政省の情報通信政策局、旧総務庁の行政管理局……他の総務官僚に例を見ない幅広い分野を経験するとともに、外輪山をめぐるように6つの地方自治体や通産省、内閣府、独立行政法人等を渡り歩き、まさに山あり谷ありの公務員人生だった。
組織のために心にもないことを平然と答弁し、忖度が効いて偉くなっても最後に不祥事で辞める官僚がいる。また、遅くまで残業を強いられ、仕事にやりがいを感じられない若手官僚が次々と霞ヶ関を去っていく。そんな官僚の姿ばかり報道されると、世のため人のためになることを考え、将来の日本を支える若者が官僚を目指そうとは思わなくなることが危惧される。
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