ワイズが日本橋から本郷に移転してから約7年が経とうとしている。移転して間もなく湯島のガソリンスタンド前を歩いていると道に何やら小さな物体を認めた。よく見ると未だ羽毛も生えきらないスズメの赤ちゃんだ。暫し見つめているとその横をガソリン給油の自動車が何回か通過して行く。「これは危ない!」とっさにティッシュペーパーで包み込み安全な場所に避難させようと思ったが安全の場所も無くスズメの巣も見受けられない。一時様子を見ても親鳥らしきスズメもいないので苦渋の思いでそのまま持ち帰る。何故苦渋の思いかは、子供の頃小スズメを何回か飼おうとチャレンジしたが皆餌を食べる事が出来ずに死んでしまった記憶が甦ったからだ。心の中で「この子も同じ運命なのかな」と呟く。何にもしなければ確実に死んでしまうので小鳥の餌の粟を入手しお湯で柔らかくすりつぶして与えるも食べようともしない。そんな時である工具箱にピンセットがあるのを見つけた。このピンセットにすりつぶした餌を挟み、くちばしを刺激したら親鳥のくちばしと間違えたのか餌を食べ始めた。それから数時間おきに餌を与え元気に育ったのが「ピーちゃん」だ。スズメは利口な鳥で餌を与えている人をちゃんと認識していて手の上にも乗る様になり、動くとその後を飛んで追いかける。「可愛いものだ」とばかり感心していられないのは、本来スズメは野鳥で飼育を禁止されているからだ。ある程度飛べる様になり放鳥に関して近くの獣医さんに相談したところ「一度飼われたスズメは放鳥しても自分で餌をとる事が難しいし、カラスやネコ又は交通事故で死んじゃうよ。理由が理由だから最後まで飼ったら!」とのアドバイス。こんな訳でワイズの看板手乗りスズメの「ピーちゃん」が誕生したのでした。「えっ、もう1匹居る?」って。もう1匹の「チュンちゃん」については次回のお楽しみに。