淡々と暗いと明るいの中間
色で言うと「ねずみ色」なトーンで終始し、
敢えて盛り上がろうとすることを拒否して、エンターティナー的な演出を、
自ら排除しようとしているうような感じ。
あ、そこら辺は原作通りなのかわからないけど、
持ちやすいはずのスプーンなのに、掴みどころがないような部分が、
リアルな感じがして良かった。
見終わってから調べたら「さんかく」の監督さんなのですね。
なるほど、ジャニーズ主役映画の割りに、地味に地味に仕上げたのは良かったと思います。
現役の学生を劇場に足を運ばえた功績、地味な演技が逆にセクシーゾーン!!
原作を読んでる人も、この漫画はただのエンタメとは違うテイストがする
ことが好きな人の理由のようで、
映画もそのニュアンスをいかに壊さないようにするかということに配慮されているのかも。
人間はどんなにキレイ事を言おうと、自分以外の命を食して生きているのだから、
もうそれだけで「罪」は背負ってるとも考える人もいるだろうし、
そんなのは人間だけじゃない生きとし生けるもの常であり、
何も感じなくても良いと思う人もいるだろうけど、
普段、その毎日繰り返され、死ぬまで終わる事ない「食べる」行為について、
あまりにも無知だし、気にもとめない事の方が不思議だなぁ~と思った。
が、一日経つと忘れてしまう。
神に対して、お祈りをしてから食べる国もありますが、
日本の「いただきます」と「ごちそうさま」って、
もっと広いというか深い気持ちが凝縮されてて改めて凄いよなぁ~と感心しました。
以降 ネタバレあり
例えば、は傷つけないというのもあるかもだけど、動物に痛みを与えないよう電気ショックで殺すのかと思ってたら、
「電気ショックで気絶させたまま、心臓は動いたうちに血抜きをしないと肉がまずくなって出荷できない・・・」
と言うのはショックだった・・自分が豚みたいに太っているから親近感というのもあるけど(あるんかい!)
豚肉大好きで、馬鹿すか馬鹿すか何も考えずに美味しい、美味しいと食べていたけど、
人間って残酷なほど「貪欲」なんだなぁ~と驚いた。
自然界で、味が良い悪いで殺し方を変える動物・・・いるのかな?
恐ろしくもあり、また、言い方が正しくないかもですが、素晴らしいとも思った。
何度か牛乳や豚肉などを「お金に換算する問いかけ」のシーンが出てきますが、
「安い」なと思う自分と、「でももっと高いと困るな」と思う自分もいました。
可哀想というだけの言葉の軽さに打ちのめされた感じですが、それを説教じみて熱く語らないのがいいですね。
それは観たあなたの方が感じればいいし、考えるべきでしょ?という突き放し方が
クールだ。
「ブタがいた教室」とは違う切り口で面白かった。