総選挙が終わり、株価は上昇。為替は円安に振れて石油製品市況も気になるところですが、
石油製品の相場というものは、元売や流通業者の段階では直接的に収益に影響してきますが、
リテール部門では多くの場合、周辺市況との関連や条件などもありますから、個々の企業における価格転嫁の意思決定が原則です。
株価などの相場とは異なり、石油ビジネスのリテール部門の「売り」に関しては多くの場合自分の意志で販売価格を決定するものですから当然です。
仕入相場の動向を読み切ったとしても、結局は採算性を加味しながら「自分のSSではいくらで売るか・」という事になるわけです。
現実のところ、他店よりも安い価格で仕入れて、高く売れれば競合店よりも利益が出るという事にもなるわけですが、
安売りをして、少しばかり販売量を伸ばしたとしても、それでも採算には乗らないといった声も聞こえてきます。
特に情報量の少ないPB系などでは仕入れ価格情報の取得に余計な時間やコストをかけているケースも多いわけですが、
それでは、どこまで行っても堂々巡りでビジネスとしての伸びや可能性が見いだせないと不毛のビジネスを嘆く経営者が増えています。
来店客に対しての「油外収益」に賭けるという、従来のSSビジネス手法では抜本的な収益改善は不可能だとわかってはいても、
その手法でしか拡販の手段を持たない企業であるとしたら、すでに『負け組』なのだと思います。
相変わらず、「まずは、来店ありき」からスタートする発想では、結局、安値販売価格に依存するしか方法はありませんね。
昔は、「看板」を上げると、石油組合の支部の幹部がきて販売業者に圧力をかけたりしていたものですが、
現在では、多くのSSが販売価格を店頭提示している時代です。SSのビジネス環境は時代とともに確実に変化しています。
最近、私も消費者の立場になって気づいたことなのですが、
消費者がSSを選択する条件とはいったい、どんな条件なのだろうと考えてみますと、
たとえば、当社ではこれまで自動車用燃料と灯油は別の企業から購入していたのですが、
灯油配送に来たスタッフが「車が汚れていますね、洗車しておきましょう。」と声をかけていただいて依頼しました。
時節柄、足元にはカラマツの葉なども散らかっており気になっていたわけですが、丁寧に車内清掃までしていただいて非常に助かりました。
聞いてみると、その企業では灯油スタッフは配送先で汚れた車を見ると必ず洗車勧誘をしているのだそうです。
別のスタッフが車をすぐに持ちに来て、『お預かり洗車』を推進中とのこと。
もちろん、有料洗車ですが、忙しい我々にとっては大変ありがたいサービスだと感謝しました。
SS店頭で洗車に要する待ち時間を節約できますから、洗車料金なんて安いもので全く気になりません。
「ついでに、ガソリンも入れておきました。」というわけで、これからも、よろしくという事になるわけです。
SS店頭の「待ちのビジネス」とは異なる視点での消費者ニーズの掘り起こしは、非常に身近なところにあるものだと思います。
SS経営者の方も、一度ホームセンターの店頭で灯油を購入してみたら・・、なんて思います。
まずは、レジまで行って支払いをして、カードをもって今度は外の灯油計量器のところで給油スタッフを待って・
店内の放送でスタッフが来てから給油してもらって、キャップは自分で絞めて、重いポリタンクを自分の車に運んで、汚れないようにセットする。
これで10円/㍑安くとも、配達とは180円の購入格差だけなのです。
配送料金に関するコスト格差は消費者の立場になって初めて確認できるという事。
改めて、消費者の立場に立ったSSという業態の見直しが必要だと考える昨今です。