前に、テレビで活躍するパックンについて、パックンの「逆境力」を読んだ
テニス界で活躍したシャラポワさんについて、シャラポワの秘話に驚かされて・・・
などで、その意外な生い立ちについて、このブログで紹介したことがあるが、私は本の中でも人の来た道について書かれたものを読むのが好きだ。他の幸せそうに見える人でも、そこに辿りつくために様々に大変な思いをしていることが多く、以前、スピリチュアルの江原が「よく人の成功を羨ましがる人がいるけれど、それならその人の積んできた苦労も一緒に背負う覚悟がないといけない」と言ってた言葉はまさに真実だと思ってきた。
そして、今日は久しぶりに「浪花千栄子」さんについて知ることができた。
オロナイン軟膏の宣伝をした浪花さん。彼女の前は大村崑さんがやっていたが、浪花さんの本名が「南口キクヨ」だというのを知って、大村さんの後を浪花さんがやることになったという話から始る。
優しい温和な笑顔が品のよい浪花さんの印象を持っていたが、青山誠著「浪花千栄子」を読むと、貧しい家に育ち、母が5歳の時に死去。3歳年下の弟の面倒、家事や鶏の世話までこなさねばならず、1900年から授業料が無償かされた尋常小学校に大正期で行けない子どもは稀少だったが、彼女は学校に行けなかったという。それが、8歳で父親が後妻をもらい少し学校に通うことになるが、居酒屋の女性だった後妻はだらしなく、馴染めず、父親は娘の方をまだ9歳で当時ですら義務教育で違法行為だが、芝居茶屋に女中にだされ、こき使われて無給で働かされたという。
文字を勉強したいと努力はするが、学校は勿論行けず8年、17歳になる。父がお金を無心にきて無給だったと知り、主人から15円を得て、また他の奉公にだすなど、ひどい父親で、今でいえば児童虐待されていたような時代を経て・・・ただ、最後に働いた奉公先の御寮さんは優しく、お茶や礼儀も教え、2年弱奉公したが、すでに父親が2年分の給金を前借りしていた。それを知らされ、奉公明けまでまたずに、御寮さんが5円の餞別をくれたのを手に、父が迎えに来る前に一人で生きる決心をする(この時、20歳)。
何の力もなく、見つけた仕事はカフェーの女給(今でいうキャバクラ嬢)。でも、みな親切で、給料は客がくれるチップだが、それなりの収入になった。でも、自分の居場所ではないと感じていた時に、仲間が「モダンな顔立ち」だと言ってくれていて、当時女優の募集があって、それに応募する。それまでは、女優は男性の女形がしていたが、時代が味方した。
それからは、運が味方してくれたり、気の強さで職を失ったりしながらも、渋谷天外と結婚。子どもが出来ずにいる間に、藤山寛美が「すいと・ほーむ」という2人で作った劇団に来て、息子のように可愛がったり、天外と自分の愛弟子に裏切られ子どもができ、離婚。喜怒哀楽の人生を送る。引きこもって、またゼロに戻りそうなところを、花菱アチャコの誘いでラジオドラマに出たり、いろいろ仕事につながり、女優として彼女でなくては出来ないと思われる活躍をする。
あの品のいい笑顔の裏で、大変な人生を歩んでいた浪花さん。華々しい女優人生と見える影にこんな大変な思いをしていたことを知れば、人は、よく知ってみなければ分からない。人生はやはり、喜びも苦しみもあるものと知る。
そして、彼女が過去に足掻きながら身につけたことが女優になって全て活かされたように、人生に無駄はひとつもなく、自分にふりかかる困難は、どこかでまた次の喜びやチャンスに変わることもある。そう信じて歩いていくしかない~と感じた。