今回、衆議院選挙で最高裁判所裁判官国民審査公報で、不信任としてXをされた率が1割を超えたことが新聞やテレビでニュースになった。
私は、以前気づいて、公報がくると一応は目を通して、今回はあまり時間がなくどれにもXをしないでしまっていたので、その結果に驚いた。
なぜ、今崎氏が高い不信任率になっているのかにも興味が湧いて調べてみた。
<日経新聞のココより転載>
ネットで検索すると・・・東京新聞のココに、<犯罪遺族の痛み「同性・異性で異なるものではない」 最高裁、同性パートナーも給付金対象の「事実婚」と判断>のタイトルで、
公的給付金を巡り、対象の事実婚パートナーに同性も含むかを最高裁が判断したのは初めて。裁判官5人中4人の多数意見。今崎幸彦裁判官(裁判官出身)は「同性パートナーは対象に当たらない」との反対意見を出した。
と2024年3月26日 21時23分 にネット公開していたことが分かった。それどころか、時事通信、NHK、毎日新聞など多くの新聞が扱っていた。私自身はこの裁判について覚えていなかったが、ひとりで反対意見をいったのが今崎裁判官なら、公報でチェックしたはずなのに なぜ自分は気づかなかったのだろう?と不思議に思えた。
目を通したはずの「最高裁判所裁判官国民審査公報」を、片付けた古新聞の中か見つけて読み返してみた。
あれっ?書いてない! 私が見落としたのではなかった。
今崎裁判官の関与した主要な裁判の令和6年3月の反対意見をひとりで「同性パートナーは対象に当たらない」との反対意見を出したのは、主要な判断材料になりそうなのに・・・。さらに、2の令和5年7月11日のトランスジェンダーの職員が女性トイレ使用を使用するのを制限した国の対応は裁量権の範囲の乱用として「違法」とした判決は全員一致。但し、今崎氏(ここでは裁判長)は補足を追加したようだが、その補足内容はどこにも書いてなかった。 (まあ、違法としたならいいか?)と思ったのを思い出した。だが、以前は補足説明とかが何だったのか、書いてあったような気がして、あれっ?と思ったのも思い出した。
いつの間に、こうなったのだろう。
主な裁判ということで、どうして令和6年3月の公的給付金に同性パートナーを対象に当たらないとした裁判を外したのか。そこは、誰の判断なのか気にかかった。 この公報はそもそも各県の選挙管理委員会が出しているようだが、内容は国で定めていて同じ内容のようだ。
さて、そこで一体 今回の最高裁判所裁判官が、どんな判決を出したのか調べてみることにした。すると、NHKの記事がでてきた。
これまで気づかなかったが、けっこう前からあるようだ。NHKのこのサイトは使える!すごい~と驚いた。
「最高裁判所とは」「国民審査とは」「注目裁判での判断は?」「プロフィールは?信条は?」と項目もいたれり尽くせりの様子だ。このページを下に見ていくのでも、今回の新聞記事にもなった国民審査の不審率の表や分析もでていた上に、下のような、分かり易い 簡単な国民審査の判断に役立つ一覧表も出てきた。 。
今回、X(バツ)が少な目だった3人は(最高裁裁判官になって半年も経っておらず、公報でも判断材料がないと例を挙げていなかったので、私は読まなかった)ことも思い出した。 サイトには、裁判の項目も全部で16項目あり、探していた令和6年の3月の給付金の対象の話も「結論に反対」と、このNHKの「主な裁判」の一覧には含まれていた。
個別の詳細を読めるところもあった。
上の項目から令和6年3月の裁判を選んでクリックしたら、詳細と共に、知りたかった今崎氏の「結論に反対」の内容も書いてあった。
今崎さんの「結論に反対」を下の方にスクロールして読むと・・・
「判決で示した事実婚の解釈がほかの法令に波及することが想定され、社会に大きな影響を及ぼす可能性があり懸念がある。何をもって事実婚と同様と認めるかは簡単に答えが出せる問題ではない。今回の論点は家族をめぐる国民一人ひとりの価値観に関わるが、そうした議論の蓄積があるとは言いがたい。現時点では先を急ぎすぎている」 と書いてあった。
今崎氏の写真の上に、
●この裁判についての最高裁判所の資料はこちら(NHKサイトを離れます)
と書いてあるが、最高裁判所の資料はこちらを試しにクリックすると、とてもではないが、簡単に読めない文が10ページ。これを一般の人がよむのはとても無理と思え、NHKのサイトの有り難さを感じた。
さて、ここで最初の問題に戻ると、なぜ、今年の3月にテレビや新聞に大きく扱われた大事な情報が、今回の公報に抜け落ちていたのだろうか。
それが分からない。この、<主要な裁判>を誰が主要だと判断したのか。選んだ人の判断基準に問題はないのか。そこが気になった。
実は、この16の裁判例の下に、「この6人がかかわっていない主な裁判」として2つ例が上がっていた。
これから、私たちが判断を迫られる裁判も多くありそうだ。そもそも、このNHKも主な裁判の16を扱っているだけで、他にあなたにもっと関係する大切な裁判があった可能性もある。沖縄の辺野古、マイナンバー制度、ジェンダー、再審の判断*、かなり自分たちの身近な問題が、最高裁判所の裁判官の判断に委ねられて決まっていることに無関心でいる危険について気づかされた。
*今回みた16の中に、今崎氏の「結論と同じ」となっている判決で「2024年1月29日決定 第3小法廷名張毒ぶどう酒事件 10回目の再審請求も認めず」というのもあった。今回の今崎氏しか関係していませんが、この事件について私は知らないが、「再審請求を認めない」といえば、思い出すのは「袴田さんの無罪判決」のニュース。58年の闘い。そして、先日も中3女子殺害事件で再審開始になった話もあった。
裁判所を自分と関係のない世界と思わずに、しっかり見つめ直すためにも、この国民審査を大切な権利と考えていかなくてはいけない。
そして、最初に立ち戻って、そもそも、公報がこんな風に「主要な裁判」として書いていることを疑わなくて大丈夫なのか!?
私自身も反省しているが、公報だと思って公平かどうか疑いもしなかったが、「主要な~」という言葉には用心しないと。そこには、情報が選択されていることに気づこう。そして、つねに情報は、しっかりアンテナを張って捉えて行かなくてはいけない!
多分次回の同様の機会があった時にはNHKのサイトをまず見てみようと思う。そして、公報の「主要な~」をどうやって選んでいるのかも是非知りたいと思う。それこそ、個人情報を管理するのに躍起になるより、政府には、自分たちの情報をデジタル化して、NHKのサイトのような<市民がひと目でその裁判官が何をどう判断したか、分かるようなサイト>を工夫すべきだし、紙の公報にせめてQRコードでさらに詳細が知れるようなことくらいしてもよいのではないか。
*最後に、NHKを批判することもある私だが、NHKにも本当に立派な仕事をしている人たちがたくさんいることも身にしみて感じることも多い。最初に書いたように、このサイトを作った方たちはすごいと思った。