いよいよ来年はオリンピックの年となる。でも、オリンピックの華やかさに踊らされていていいのだろうか。
裏金疑惑の日本オリンピック協会元会長・竹田恒和会長が東京五輪招致時に提出した東京の8月の気候「晴れる日が多く温暖でアスリート に最適な気候」という噓、その後2013年IOC総会では、「福島はアンダーコントロール」と首相がついた噓報告。噓から生まれたオリンピック。
「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」
そうでしょうか?福島は、ほぼ8年経つ今も汚染水問題に解決の道がつかず、「海に流すか、大気に流すか」といっているのに?
そして、復興の名の元に、原発事故のことは忘れてしまえと仕向け、1年間に20ミリシーベルトを越えない汚染地であれば帰還するよう指示し、支援してきた住宅補償を打ち切った。
このブログのこのコーナーでよくご紹介する写真家・中筋純の写真を使い小出裕章氏が書いた「フクシマ事故と東京オリンピック」が2019年12月2日、つい最近出た。たぶん、書店でも目立つところには置いてもらえないだろうこの本の強いメッセージ、図書館で借りてもいい、買って頂ければなおいい!皆さん、しっかり受け取って下さい。
左上:2014年、右上:2015年、左下:2016年、右下:2017年
中筋純さんの定点観察写真、この4年の写真。今野球をしている子どもたち。1年間に20ミリシーベルトという被ばく量は、「放射線業務従事者」に対して国が初めて許した被爆の限度なのだそうだ。それを被爆からは何の利益も受けない人々に許すことは許しがたい。と筆者が本の中で述べています。
*この目の解説は、上の目をクリックすると信濃毎日ウェブ版で読めます。
この本の中の大半の写真を提供している中筋純さんが、写真展会場にいつも置いている人の目の写真。自分が小学生の頃に考え、福島県双葉町の看板に掲げられた「原子力明るい未来のエネルギー」との標語を見つめる大沼さんの目。撤去される前のその標語が書かれた看板が目に移っているこの写真に、たくさんの写真展をみた人のメッセージが書き込まれています。(*ちなみに、この看板は撤去されました)
実は、私のメッセージもここに入っています。「目に見えないものが1番大切で、1番怖いものだと思う」と書いたのですが、人間の心、空気、命・・・人間にとって大切なものは目に見えない。目に見えないから、いつの間にか傷つけられ、汚されたり、危険にさらされていても、人は見過ごしてなかったことにしてしまう怖さ。
放射能は目に見えない。見えないからとないがしろにする怖さを、ひとりでも多くの人に自覚してほしい。軍備は仮想敵国のためにするもの。でも、福島原発事故がそうであったように、日本は敵国に攻められる危険性以上に、地震国にあって地震、津波で命の危険にさらされ、故郷を追われる人を作る原発を全国に持ち続けている! 脱原発を速やかに進めることと、仮想敵国のために軍備にお金をかけるのと、どちらが国民の生命安全の利益にかなうことでしょう。地震は明日にも起こるかもしれません!全国のどこにでも!
これまで戦後70年以上日本は他国に侵略を受けていません。でも、地震はどうですか?津波は?どちらが緊急な対策を必要としますか?
再稼働をもくろむ人、軍備をすることが急務として軍備増強を声高に叫ぶ人に私はNO!といいます。国民の生命を考えるなら、いますぐ廃炉を進めるべきです。それは、平和なビジネスにもなります。
オスプレイ配備が進められていますが、練習で近隣住民に被害を及ぼす可能性だってあります。おかしいではないですか。他国から攻められる危険性を予想して人に銃口を向けることを考える前に、今も起きるかもしれない自然災害を前に最善・最大の予算と人知を駆使して対策を打つのが日本の進むべき道です。大地震の確立は他国に攻められる危険性よりはるかに高い数字で予測されているのを、あなたはしっているはずです。
あなたの目には、今の社会はどのように写っていますか。
この本はこの目について「真実から眼を逸らすことは犯罪である」と書いてあります。目を逸らさずに、日本の将来を少しでも明るい未来へと変えていく力になりましょう。