何が起こっているのだろう?東京都の感染者数が減少している。「それは、皆が外出自粛を頑張っている成果だ」と喜んでいいのだろうか?下の表を見てほしい。
表1
これは、私が厚生労働省の「新型コロナウィルス陽性者数とPCR検査実施人数(都道府県別)」という統計の数字から東京都の陽性者数と検査人数を取り出して、東京都が何件の検査からこの陽性者を見つけ出したのか? その検査数情報を探るために作った表だ。今回は4月下旬のものしか出してないが、以前のもこれまでのブログ(ココなど)では掲載している。ともかく、すっきりと検査数をみせてくれる数字が本当にないのが、厄介なのだ。
(表1)をよく見ると、4月24日(金)25日(土)が検査数ゼロとなっている。でも、実は、これは驚くべき事ではない。理由は分からないが、東京都のPCR検査は新宿区にある「東京都健康安全研究センター」を取材したNHKが「今回、実際に検査が行われている現場にNHKのカメラとが初めて入りました。センターによりますと、検体は都内各地から持ち込まれ、土日も含めて毎日、検査をおこなっているということです」とココに記事にしており、理由は分からないが、何らかの理由で金・土の検査数ゼロはずっと続いていたのだ。働いてはいるが、数字の報告はしてない?不明だが、これまでも検査人数が上下して、東京都の感染者数の波に影響を与えているのが、このゼロの日であることは確かなのだ。しかし、逆にここにきて、実は4月17日(金)ゼロだが、その後土曜日もゼロにならず連続4~500人の受け入れを休みなく続け、驚いていた。というのも、これまでは多くの検査を受入れると金・土曜日以外にももう1日検査を受入れないことも多かったからだ。
ところが、ところが、4月24日(金)25日(土)のあとがいけない!!!怖いことが起こっていた!!!
日曜に875件受けたあと、27日(月)28日(火)と連続ゼロになっている!!! なぜ???
今日も日課となってしまった厚生労働省の統計で、上の(表1)に入れる数字をみるために、下の表をとり出してみた。みると・・・累計しかこの数字はでていないので、今日と4/29までの分と、昨日の4/28までの分の東京都の数字をよく比較してみてほしい。
検査人数が10702人と変わっていない!陽性者数だけが増えている。27日までの数字も10702人だったので、金・土のあと、4月25日は875人の検査をいつもより多めに受けたものの、金・土でもないのに、2日続けて検査を受入れていないのだ! 何らかの原因で875人の受け入れをしたため、パンク状態になっているのか?
実は、昨日、こんな資料も見つけた。あまりに大きい資料なので、オリジナルはココから取ったのだが、1部のみお見せすると・・・
多くの人が、全国の所管の「帰国者・接触者外来相談センター」どうやら保健所内にあったようだが、電話をして、そこでどの位が帰国者・接触者外来に受診でき、さらにPCR検査まで辿り着けたかを示す表が出ていたのだ。しかも、県別なので、東京の数字も読めた。4月10日~20日も入れたかったが、そうなるととても収まり切れないのでこの1週間のみ掲載。日にちがいるため、まず全国のを出して、その下に東京のを掲載する。ずれて表示される場合は、21日から1番右が4月27日です。
ほぼ、2000~2500件の電話を受け、その内、病状についての相談が2番目の数字。ざっとみて60%ほどだろうか?25日(土)26日(日)は休日なので、人数を減らして特別な病状に関する受付がほぼ100%。そして、PCR検査にたどり着いた人の割合は?21日~27日に関していえば、病状の相談をした人の10%だ。思い出したが、以前はこの「病状相談」という項目がなく、「相談件数から4%の人しか検査にたどりつけない!」知って愕然としながら書いたことがある。つまり、状況は、その時と変化していないのだ。
病状を訴える電話がセンターに1000件以上かかっているが、実際は、入院中の人やクラスター関連で検査を必要とする人などがいるために、検査に普通の人が東京都の「帰国者・接触者外来相談センター」を通して検査をしてもらえるのは1日で129、168、153・・・ほどこれが、今も現実なのだ。あとは、新たに設けられた医師会や区が行っていて、民間検査会社に委託される保険適用の検査が何件あるかだ。それは、なかなか数字がみえない。たぶん、検査人数はわからず、全体の検査数だけなら明日金曜日に、1週間前の木~水曜日までの数字が東京都のHPで公表されるだろう。ただし、その中には 入院中の人の検査数や同じ人を対象に行われた検査数も含まれている。
明日仮に前回のように、多くて800件~1000件の民間検査会社の保険適用の検査数が積み増されても、それがすべて新規の感染者に当てられるとは限らない。
ところで、上の1日で129、168、153・・・すべて新規相談だとして、表1と見比べてみると、このPCR件数となっているものが表1の検査数に符合しないようだ。つまり、検査は即日してもらえないと推測される。事実、これについては、さきほどのNHKのサイトで、区の担当者が「検査まで1週間待たされるケースがある」と嘆いていた。
つまり、東京都の陽性患者数が減っているから喜べるか???というと、電話してもPCR検査に行き着ける可能性は以前と変化なく、相談者の5%。病状があると相談した人の10%ほどにすぎない。この表をみて、東京都の陽性患者数が決して外出自粛の効果がでてきた証拠と言えないこと、理解して頂けましたか?
新しく病状の相談を1000人以上しているのに、PCR検査が90%の人はしてもらえない現状で、東京都の新たな感染者数が2桁だと安心するのは、大間違い! 無症状で感染者がいるというのに、症状を訴えている90%の人に陽性の人がひとりもいない?
さて、では、東京の要請感染者数の数字が、低い数字で低迷するのには、PCR検査をした方がいい人たちに検査をしてない。新規に感染をしてPCR検査をしていない人が、できない状況のためではないか?というのが見えて来たところで、次の疑問に答えてみましょう。
なぜ、どんどんPCR検査が実施されないのでしょう?
PCR検査の能力は1日13000件あると聞きました。さらに首相はそれを2万件にすると言っていました。もうずっと前から、「医者が必要と判断したら、検査ができるようにする」とも言っていました。それが、どうして実行されないのでしょう? わたし自身は、これまで積極的に検査を実施させてこなかった要因があったこと(習近平来日、オリンピック開催・・・)については既に言及してきたので、今は、それらの原因も含め、積極的に検査の拡充に手が打たれず、マスクや防護服、人工呼吸器もそうですが、全てが後手後手になっている現状のみを、見てみることにします。
さあ、ゼロが並んだ不安な表1に戻ります。新たな感染者数の表ばかり出す東京都や報道だが、感染者は明らかに増加し、病床に長く留まり、医者はさらに忙しく、防護具や、マスクの枯渇が医療従事者の感染リスクも高めている。疲労も。そして、医療従事者や「東京都健康安全研究センター」の人たちにも家族があり、保育園もゴールデンウィークで閉まり、人々が休みの中家族とゆっくりする暇も許されない? すべての政府の無策のつけが医療従事者や、保健所、その他の人にずっしりと背負わされてしまっている現実は認識しないといけなそうだ。
残念だが、もうひとつ更新された資料がある。「新型コロナウィルスのPCR検査の1日あたり実施可能件数(都道府県別)」だ。どうして、残念かというと、「地方衛生研究所・保健所」の検査能力は、ほとんど変化がないからだ。全国で4990件。ココをクリックすると厚労省の原資料にまだリンクしているかもしれない。
驚くのは、私がこれと同じ表の(4月1日時点)のをみて、東京都が220件というのに驚愕した4月8日のココに書いた時から、1ヶ月経てたったの全国で160件しか増えていない。東京都で15件しか増えていないことだ! しかも、先ほどのまたもやNHKのサイトによると、「センターによりますと、検体は都内各地から持ち込まれ、土日も含めて毎日、検査をおこなっているということです。本来、1日に可能な検査は240件だということですが、今月に入ってからは作業時間を延長して1日平均で270件余りとなっていて、今月3日にはこれまでで最も多い557件の検査をおこなったということです。その結果、ことし1月25日から今月16日までに8850件の検査が行われました。
センターでは、検査依頼の増加にともなって今月に入ってから検査にあたる検査員を10人から32人と、それまでの3倍以上に増やしたということです。さらに、検査員のシフトを工夫したり、検査で使う機器を新たに5台増やしたりしてできるだけ多くの検査を実施しています。また、正確な検査をするためには専門的な知識や技術が必要で、1人前の検査員になるには2年から3年の経験が求められるということです」
検査が増えない。見ていて、「地方衛生研究所・保健所」の検査数は、現状能力の235件をフル活用して検査を実施するのが、増員後でもギリギリなのかもしれない。まして、ゴールデンウィークだ。そして、期待するのは他の、特に民間検査会社だが・・・
実は厚生労働省が、新型コロナウイルスに感染しているか判定するPCR検査について1日当たり、最大で1万3000件の能力と言っていた、4月中旬の内訳が▽国の研究所で800件 ▽検疫所で1760件 ▽保健所などで4915件 ▽民間の検査会社で3740件 ▽大学などで1039件、
▽医療機関で714件となっていた。ところが、実績をみると、それをめいっぱい使っているところは勿論なく、最高でも未だに4月末で1万件の検査実施に達した日は1日たりともないのだ。
民間の検査会社に期待したいが、未だに能力どころか、3000件にも達していない。2000~2300件のみの実施実績だ。これも先のNHKのサイトで民間会社の担当の声をひろっていた。
>「現在は対応できているが、検査数が急増すると対応が難しくなる。検査態勢を増強するには場所や専門性を持った人材も必要で、そう簡単にはできない」と話していました。また、別の会社は「検査に必要な試薬などの確保に数週間かかるため、急に増えると対応できない可能性がある」と話していました。
何処まで行っても、結論は変わらない。より検査をふやそうとしても、日本では進んでいない現実が見えるばかりなのだ。なぜ、外国に手を借りないのか???中国や、韓国に。メンツか?予算か?素人には計り知れない。人の命より大切なことがあるのか???
ここまで、読んでいただいて、なぜ、低い感染者数が、検査の危機的状況を示しているのかご理解頂けたでしょうか。
もし、その認識がなく「外出自粛の効果が少しずつ現れているみたいだ」とコメントをする人がいたら、即 その間違いをただして下さい!そうでないと、私たちの努力はすべて水の泡になり、医療従事者と我々自身をさらなる危機的状況に追い込んでしまうことになります。
それにしても、首相も、小池知事も、テレビも、報道も、なんでこの都の感染者数が低く低迷している本当の怖さを人々に説明しないのでしょう。未だに、本当の意味でこの現実の怖さを認識していないのでしょうか?
保健所の方や、民間検査会社の方、医療機関の方の声が、もっと政府や国民にとどきますように!
お月様、どうぞ真実がみんなに伝わり、多くの人の力が結集して、1日も早く平穏な日々が取り戻せますように!!!