住職のひとりごと

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小中学生不登校34万人という話

2024年12月04日 16時30分17秒 | 様々な出来事について
小中学生不登校34万人という話



ニュースを見ていたら、不登校が最高の数字になっているという。子どもの頃は友達に会いに学校に行くのだから楽しくて仕方ない年ごろではないか。それなのに学校に行けないというのは、何か社会全体が持つ不条理、歪な社会構造が原因しているのかもしれない。親の心はそのまま子供に影響しますから、親の複雑な心境が子供の心に微妙な影をもたらし、なかなか周りと打ち解けられない壁を作ってしまうということはあるのではないか。

実は私が中学三年の時、幼稚園から一緒で、小学生のときにも仲良く、その後少し距離ができていた子が、中学三年の時同じクラスになり、余り教室で顔を合わさないなと思っていたら、担任の教師から、下校前の挨拶の時に、彼が学校に来れないと聞いた。

行ってきますと家を出るのだがおなかが痛いとか気分が悪いと帰ってきてしまって、ほとんど新学年が始まってから学校に来れていないという。どうしたのかなという軽い気持ちから、その翌日よく知っていた彼の家に迎えに行くと、ごく自然に一緒に学校に来て、教室に座っているから、先生が驚いて今日は来れたのかと聞くと迎えに来てくれたからと言ったのでしょう。担任が来ていいことをしてくれたと。

それから毎日迎えに行き一緒に学校に行っていた。別にそんなに偉いことをしているとも考えずに、ごく自然に迎えに行き一緒に学校に行くという感じだった。学年始まって私より小柄だったはずなのに、なぜか一年終わる頃には彼の身長はずんと高くなって、はるかに私より背が高くなっていた。

三年の終わるころ三月になって、君日曜日に区役所に来てくれという。行くと、何やら区長さんから表彰状をもらい、新聞にも載ってしまって、えらいことになって、学校中が知ることになった。教育委員会の教育功労者としての表彰であった。

専門のことは分からないが、難しくしすぎな面もあるのではないか。当たり障りなくそっと見守るとか。そのせいで解決できるものも長期化してこじらせる。もっと簡単にというわけにはいかないかもしれないが、もっと軽く考えて対処したら改善される面もあるのではないか。

鬱とか、引き籠りとか、ニートとかいろいろと名称を付けて、それぞれに当てはめてひとまとめにして対策を考えるのもいかがなものか。簡単に薬を求めてしまうというのもどうなのかと思える。みんなそれぞれ事情が違うので、その当事者にしかわからないことが沢山ある。私がかかわったのはとても軽いものだったからかもしれないけれども、もっとオープンに個々のケースごとに係われる人が気楽に助けていくことを考えるのが良いのではないか。

この話には実は、後日談があり、中学卒業後はまったく疎遠になっていたのに、私が高野山の専修学院で一学期を終えて、夏の休暇を東京で過ごし、明日から高野山に登りいよいよ百日の修行に入るという時、大阪で用事があり難波の南海ホテルに泊まった。そのホテルのエレベーターで、ばったりその彼に10年ぶりで再会しお互いの無事を確認した。私は作務衣だったが、彼はスーツ姿で企業に勤め、同僚と一緒だった。短い会話でお互いの近況を伝え合うだけだったけれども、私にとってはとても意味のある、不思議な再会だった。




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