活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

大鳥圭介という大物がいた。

2011-05-07 14:32:11 | 活版印刷のふるさと紀行
大震災のせいで今年はゴールデン・ウイークなどとはいえませんが、その一日、
房総の海を眺めていてこのブログで、大きな忘れ物をしていることに気がつきま
した。それは 本木昌造の最初の流し込み活字に遅れること6年、合金の活字を
鋳造して『築城典刑』などの西洋兵学の翻訳書を印刷した大鳥圭介です。

 実は大鳥圭介というと、私は幕臣として戦いの場にあった大鳥圭介、新撰組の
土方歳三らとの官軍を向こうに回した戦いや五稜郭の立てこもりなどをつい思い浮
かべてしまうからです。実際には『築城典刑』から、7~8年後のことですが。
 ご多分に洩れず、彼も印刷史上以外で実に多彩な生涯を送っています。

 天保4年といいますから1833年、いまの兵庫県生まれで本木よりも9歳年下
でした。緒方洪庵の適塾で蘭学や医学を学び、西洋式兵学から写真を学んだり、勝
海舟や中浜万次郎とも親しくなります。ごく短い間、尼崎藩や徳島藩に籍を置いた
こともありますが、1859年、安政6年蕃書調所に移ります。これが 彼が印刷
や出版に目を向けるようになったきっかけではないかと考えます。その2年前に縄
武館の兵学を教えていますが、あるいは中浜万次郎からアメリカの印刷事情を聞い
たりした影響もあったかも知れません。

 

 

 

 
コメント
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