活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

「脳科学」と印刷

2014-09-19 14:11:56 | 活版印刷のふるさと紀行

 きょうの印刷図書館倶楽部の勉強会はちょっとだけ畑違い。というのは『日経ビジネス』9月1日号にあったスペシャルレポートー「脳科学」でヒットを創るーを引き合いに出しての侃々諤々でした。

その記事のアタマには頭にヘッドギアまがいのセンサー機器をつけた女性がモニター画面を見入っている写真がありました。これはいま流行りだそうですが、人間の「脳」の反応をリアルタイムで測定して、その結果を製品開発や評価に取り込む「脳科学」の応用で、これを名付けて「ニューロマーケティング」というのだそうです。

つまり、人間の脳細胞の反応が思わぬ売れっ子商品を生み出すという新しいマーケッティング手法の紹介でした。その成功事例は日経ビジネスを見ていただくことにして「こりゃおもしろい。印刷にもこのニューロマーケッティングにあやかる商圏拡大を図れるようなアイデアはナカンベーカ。それが今日の議論のスタート地点だったのです。

「ヘッドギアかぶったって正直に反応するとは限らないよ」、「近江商人の三方よし、売り手良し、買い手良し、世間よし」、「富山の薬売りの薬以外の仲介サービス、」、「松下幸之助の売りたいものを作るな、客が欲するモノを売るな、客に役立つモノを作って売れ」、「出光のカネやモノや組織にひきずられちゃいかん」 出るわ出るわ江戸時代から現代まで日本のビジネスのDNAともいうべき事例が。脳科学旗色悪し。

 結論からいえば、脳科学やニューロマーケティングに頼るよりも印刷は印刷業の置かれている利点、すなわち受注産業的性格から顧客と双方向的コミニュケーションが容易にとれる立場というポジショニングをおおいに活かしていくべきだ。顧客を起点に顧客価値を創造し、提供するために対話を深め、この対話いうなれば、コミニケーションサービスプロバイダーになるべきで、そこから製品開発も新事業領域も出てくるではないかということでした。

いささか凡庸、陳腐な結論かもしれませんが、残念ながら印刷産業の多様な活動内容が一般にまだ知られていません。もっと印刷企業・印刷業界がパブリシティに力を入れるべきではないでしょうか。それが足りない。ただし、顧客を起点にといっても、顧客の言いなりになってのサービス過剰や受注獲得のための値引き競争にひきこまれたり、いつまでも「印刷屋さーん」の呼称に甘んじていてはならないという自戒も含めて盛り上がった次第です。






コメント
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