活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

グーテンベルクの聖書を最初に見た日本人は

2008-07-21 12:14:07 | 活版印刷のふるさと紀行
 ミズノプリンティングミュージアムの水野館長は印刷万般に造詣が深く、
いつお会いしても話術というよりも豊富で新鮮な話題に引き込まれてしまうのがつねです。

 きょうの話題の中心は福沢諭吉でした。
手元に見返しがマーブル模様で印刷された黒表紙、紐つきの手帳をお持ちでした。
 「日本人でいちばん最初にグーテンベルクの42行聖書を見た人が誰だかわかりますか?」
 一同「ン、?」
 
 「これが、福沢諭吉の「西航手帳」といわれるものです。1862年8月12日
の記述に、1440年ドイツにおけるラテン語の書にして欧州における第一の版本なりとあります。慶応義塾の高宮利行教授と話したのですが、これがグーテンベル
クの聖書であることはまちがいありません。
 高宮教授が諭吉がその日訪ねたペテルスブルグ(サンクトペテルスブルグ)の図書館の訪問署名録から、諭吉のサインを、ほら、このとおり」

 たしかに、日本人4名の署名の筆頭に諭吉の名前があるではありませんか。
 はじめて耳にする興味ぶかい話でした。なんでも、この諭吉が見た聖書はいまはスイスに移っているとかです。

 私としては、天正遣欧使節に同道して日本に最初に「活版印刷」をもたらした
コンスタンチノ・ドラードがおそらく、それよりも370年も前に、日本人としてローマでグーテンベルクの聖書と最初に対面していると思いたいのですが、残念ながら「証拠」がありません。

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