私的図書館

本好き人の365日

12月の本棚スペシャル 2019

2019-12-29 03:06:24 | 本棚スペシャル

この年末、私は「鬼滅の刃」のアニメを見て過ごしています。

特に19話。Youtubeで海外の人の反応を見ちゃうくらい好き♪

同じアニメを見て感動できるって素晴らしい。

 

2019年もいろいろありました。

元号が平成から令和に変わり、それにともなう新しい天皇の即位の礼。

消費税が8%から10%に増税。

相次ぐ台風による被害。

イチローの引退。

あおり運転、京都アニメーション放火事件、桜を見る会、ローマ教皇来日。

元プロ野球選手の金田正一さんや元首相の中曽根康弘さん、作家の田辺聖子さんも亡くなりましたね。

それと享年69歳で亡くなったマンガ家の吾妻ひでおさん。『失踪日記』は今も読み返す名作でした。

 

個人的には小さなことですが視力が落ちたことがショックでした。

本はまだ読めるのですが、絵が描きにくい。来年はメガネ作らなくっちゃいけないかな。

 

今年もあまり本は読めませんでしたが、今年一番の出会いといえばやはりこれ!

中国の作家、劉慈欣さんのSF小説 『三体』 

 

著者 : 劉慈欣
早川書房
発売日 : 2019-07-04

 

これは面白かった。

三部作のまだ第一部なので続きが楽しみです。

 

NHKの朝の連続テレビ小説ではアニメーション制作をあつかった「なつぞら」が放送されました。

作品でアニメーションの時代考証を担当したのが小田部羊一さん。「ハイジ」や「母をたずねて三千里」のキャラクターデザインで知られています。

その関係で読んだのが、『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』

 

著者 : 小田部羊一
講談社
発売日 : 2019-09-04

 

自分も昔アニメーターをやっていましたが、それよりずっと以前のアニメ制作の現場が詳しく書かれていて、とても興味深かったです。

 

その他で買った本はこんな感じ。

 

川上弘美さんの『東京日記5赤いゾンビ、青いゾンビ。』(平凡社)

COCOさんの『今日の早川さん4〔限定版〕』(早川書房)

高千穂遙さんの『ダーティペアの大跳躍 (ダーティペア・シリーズ 8)』(早川書房)

久坂部羊さんの『介護士K』(KADOKAWA)

新井素子さんの『ゆっくり十まで』(キノブックス)と『この橋をわたって』(新潮社)

新井素子編『ショートショートドロップス』(キノブックス)

村田沙耶香さんの『地球星人』(新潮社)

梨木香歩さんの『椿宿の辺りに』(朝日新聞出版)と『やがて満ちてくる光の』(新潮社)

ルーシー・モード・モンゴメリの『ストーリー・オブ・マイ・キャリア 「赤毛のアン」が生まれるまで』(柏書房)

稲垣栄洋さんの『生き物の死にざま』(草思社)

 

これにマンガ本と文庫本が少々。

今年は海外作家の本が少なめでした。

私の好きなEテレの番組に「100分de名著」というのがあるのですが、そこでドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』が取り上げられたのは嬉しかった。

末弟のアリョーシャはドフトエフスキーの多くの作品の中でも忘れられないキャラクターです。

 

今年の年越しは特別なことは何もせず、おせち料理も買わないので普段の日常と同じお正月を送るつもりです。

「働き方改革」なのかやっと日本の企業も正気を取り戻したのか、年末年始に休みになるお店が増えそうなので食料品は買い込みますけどね。

年賀状のイラストは干支とか関係なくこんな感じ(笑)

 

 

それでは皆さん、良いお年をお迎え下さい。

 

 


稲垣栄洋 著 『生き物の死にざま』

2019-12-23 17:54:24 | 本と日常

年の瀬ですね〜

寒さが堪える季節になりましたが、うちの近所にはまだ雪は降っていません。

お山に三回雪が降ると里におりてくると祖母がいっていたので、もうじきだとは思いますけどね。

この年の瀬に読んだ本は、稲垣栄洋さんの『生き物の死にざま』(草思社)

 

著者 : 稲垣栄洋
草思社
発売日 : 2019-07-11

 

土の中で何年も暮らし、成虫になるために土から出てきたらひと夏でその寿命を終えるセミ。

卵が孵るまでエサも取らず見守り続け、やがて卵から小さな命が生まれると力尽きてその生涯を終えるタコの母親。

五億年前から生き続け、分裂して増殖するクラゲ。その中でもベニクラゲは死んだと思われてもまた小さな固まりになり、若返って分裂のプロセスに逆戻りする。

 

様々な生き物の生き方、死に方を照会した本書。本当に読んでいて驚きの連続でした。

 

成虫になると食べるための口さえ無くしてしまい、ひたすら交尾相手を探して短い命を終えるカゲロウ。

メスの体の一部となり、内臓も同化してしまうチョウチンアンコウのオス。

どうしてこんな生き方を選んだの? って思う生き物ばかり。

生命ってホントに不思議。

 

人間の小さな社会ばかり眺めていると、こんな身の回りにあふれている不思議さにも気が付かなくなってゆくものなんですね。

自然界の多種多様な生態系に比べたら、国や宗教でもめている人間なんて小さい小さい。

とても面白く読めました。

 


劉慈欣 著『三体』

2019-11-24 09:28:47 | SF

『三体』読みました!

あぁ、面白かった〜

久しぶりのハードカバーSF。

三部作の第一作目なのですが、中国のみならず世界的に評価も高く、アジア人作家として初のヒューゴー賞を受賞しています。

 

最初は文化大革命の描写から始まるので、ちょっと取っ付きにくいです。

登場人物も中国名なので漢字が難しい(葉文潔/イエ・ウェンジエ、とか汪淼/ワン・ミャオ、とか)

でもそこを通り過ぎると、もう早く次が読みたくって日が暮れるのも忘れて読みふけってしまいました。

物語は文化大革命による科学者たちの受難から始まり、国家規模の極秘プロジェクトに関わる事件へと繋がっていきます。

次々と自殺する科学者。

科学的にありえない怪現象。

そして人類に予想される危機。

その事件に巻き込まれたナノテク素材の研究者、汪淼/ワン・ミャオは三つの太陽を持つ星系を舞台にしたVRゲーム「三体」をプレイし、そのゲームに隠された真実に迫ります。

 

この「三体」というVRゲームの描写がもう面白い。

「三体」世界でプレイヤーはその世界の秘密を解明し、人類(異星人)の文明の進化を競います。

汪淼/ワン・ミャオは最初、古代中国の周の文王とその従者に出会います。

三人は朝歌の都で殷の紂王に正確な暦を献上するために旅をするのですが、太陽が三つあることを知らない古代の人々は激しい気候変動や長く続く夜と昼について何とか規則性を見つけようとしています。

三体世界の住民は生き延びるため、体内の水分を「脱水」して干物状態になることができます。

でなければ激しい暑さや寒さの続く「乱紀」を生き延びることはできません。

占いの得意な文王は、その占いの力によりこの「乱紀」がいつまで続き、人々が脱水体から「再水化」する「恒紀」の到来を予想しようとします。

もちろん科学的な裏付けのない占いは外れ、激しい寒さにより中国の戦国時代まで進歩していた文明は滅び、プレイヤーは再チャレンジすることになります。

 

三つの太陽を回る惑星。

そこで生きる三体世界の住民は、どうやって生き延びるのか?

どのようにしたら三つの太陽の規則性を見つけることができるのか? いや、そもそも規則性はあるのか?

そして、この「三体」というゲームを作ったのは誰で、何の目的があるのか?

なぜ科学者は自殺するのか?

自分の目にだけ映る科学的にありえないこの数字のカウントダウンは何を意味するのか?

 

アメリカのオバマ大統領も読者だったという本書。

スケールはどんどん大きくなって、まさにSFの醍醐味。

早く第二部が読んでみたい!

 

ゲームの「三体」世界では孔子や墨子、アリストテレスやガリレオ、ダヴィンチやアインシュタインなんかも登場し「三体」世界の惑星の運行について議論を重ねます。

何度も崩壊と再生を繰り返す「三体」世界。

彼らが最終的にたどりつく生き延びるための方策とは?

それが現実の地球におよぼす影響とは?

極秘プロジェクトとの関係は?

 

個人的にはニュートンとフォン・ノイマンが始皇帝の元で三千万人の人間(三体人)を使って人列コンピューターを作るところが興味深かったです。

プログラムを人間で代用し計算する!

兵士に旗を持たせて0と1の代わりにし、軽騎兵を走らせて情報伝達し、ハードディスクとして三百万人の教養のある人間に計算結果を書きとらせる。

原子力を利用し、さらに恒星間航行の技術を持つまでに文明が進歩した「三体」世界。

 

あぁ、早く翻訳してくれないかなぁ。

 

 

 


『ロウソクの科学』

2019-10-11 14:42:32 | 本と日常

超大型台風19号が明日にも上陸ということで、家の周りを片付け飲料水なんかを確保しておきました。

大型じゃなくても台風の時は一応万が一に備えてお風呂に水を貯めたりしていますが、今回は伊勢湾台風並ということで、ちょっと緊張。

ブログもいつ書けるかわからないので今のうちに更新です。

 

先日から発表されているノーベル賞。

日本ではリチウムイオン電池の開発に携わった旭化成名誉フェローの吉野彰博士が、米ニューヨーク州立大学教授のスタンリー・ウィッティンガム博士、米テキサス大学教授のジョン・グッドイナフ博士らと共にノーベル化学賞を受賞しました。ちなみにグッドイナフ博士は97歳。最高齢での受賞です。

そして注目のノーベル文学賞。

昨年は米国に端を発したセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」スキャンダルで関係者が性的暴行で告発されたため発表ができなかったので、今回2年分が発表されました。

2018年のノーベル文学賞はポーランドの作家、オルガ・トカルチュクさん。

2019年の同賞をオーストリアの作家ペーター・ハントケさんが受賞しました。

オルガ・トカルチュクさんに対しては「森羅万象への情熱を武器に、限界を乗り越えていこうとする生き様を物語る想像力に対して」

ペーター・ハントケさんに対しては「巧妙な筆づかいを駆使しつつ、人類の歩みの中で残された末端部や特異な部分に踏み込んだ、影響力のある諸作品に対して」

とそれぞれ受賞理由が説明されましたが、この説明だけではチンプンカンプンですよね〜

ペーター・ハントケさんは1987年の映画『ベルリン・天使の詩』の脚本にも参加されています。

 

日本のマスコミは案の定「村上春樹ノーベル賞受賞ならず」と報道していてうんざりです。

どっちでもいいよ! と正直思います。きっとご本人もそうなんじゃないかな?

 

それより消費税の軽減税率の対象に書籍を入れて! と強く主張したいですけどね。

 

今回ノーベル化学賞を受賞された吉野彰博士は1948年大阪府生まれ。

化学に興味を持つきっかけになったのは、小学校4年生の時に学校の先生が薦めてくれた一冊の本だったそうです。

マイケル・ファラデー著『ロウソクの科学』

 

マイケル・ファラデーは1791年生まれの英国の科学者。貧しい家庭に生まれたマイケルは小学校中退という教育しか受けていませんでしたが、のちに科学史上もっとも影響を与えた科学者の一人と称されるまでになります。『ロウソクの科学』はそんな彼が英国王立研究所で連続講演した時の内容をまとめた物。

ロウソクを例にとり「燃える」という現象を多面的に解説しています。

吉野博士のコメントを受けて、これは「売れる!」と出版社は確信したんでしょうね、さっそく『ロウソクの科学』の重版が決まったんだとか。

商魂たくましいなぁ。

 

 

著者 : ファラデー
岩波書店
発売日 : 2010-09-17

 


消費税増税と買った本

2019-09-29 13:35:21 | 本と日常

9月も残り2日となり、いよいよ10月から消費税が10%になりますね。

今回は軽減税率といって、食料品と新聞は8%のままでよいということになりました。

何で新聞? と誰もが思うと思いますが、我が家はとっくの昔に新聞は取らなくなったのでその辺のモヤモヤはブログではスルーします。

食料品といってもいろんな商品、提供する形態があると思います。

詳しくは調べてもらうとして、例えばコンビニでよくある店内で買った物が食べられるスペース。

同じ食品だったとしても店内で食べる場合は軽減税率の対象外になり10%

そのまま家に持って帰るなら軽減税率の対象になり8%

これは店内で食べる場合は食品を提供する「外食」とみなされるためです。

消費者も面倒くさいけど、お店の人も大変そう〜

持ち帰りもできる大手牛丼チェーンなんかは、すでに店内で食べても持ち帰りでも同じ値段にすると発表しました。

ほら、また負担がこっちにくる。

そもそも景気が悪いのに増税なんかしてこれ以上消費者の購買意欲を冷え込ませてどうするの?

 

消費税が3%から5%になった時は、家電などを増税前に買い換えたりしましたが、今回は日用品を少し買っただけ。

だいたい生活が20年前より厳しくなってきているんだから、買いたくても買えない!

あ、つい本音が。

20年前は家賃7万円の部屋に住んでいましたが今は3万5千円。はぁ〜

 

本も少し買いました。

本好きとしては新聞が軽減税率の対象なのに書籍が対象外なのも許せない!

欧米では書籍、雑誌も軽減税率の対象にしている国が多いです。

   標準税率  新聞  書籍   雑誌

イギリス  20%   0%   0%   0%

フランス  20%  2.1%  5.5%  2.1%

ドイツ     19%   7%   7%   7%

イタリア  22%   4%   4%   4%

スペイン  21%   4%   4%   4%

もう、本当に日本の政治家は芸術文化に対する評価が低すぎる!

人材こそ日本の頼るべき資産なのに、人材を育てる基盤となる書籍に増税するなんて。20年先、50年先が見えてない!

政務活動費でいくらでも本が買えるから庶民の負担感覚がわからなくなっているのかな?

どんどん住みにくい国になっていきますね〜

 

買った本の中で特によかったのは2冊。

 

著者 : 梨木香歩
新潮社
発売日 : 2019-07-29

 

 

著者 : 小田部羊一
講談社
発売日 : 2019-09-04